自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

刷り込み

自閉症の世界,本当かな?と思われる方もいるかもしれませんね。

療育している時に全部あったことばかりです。

 ところでローレンツの【刷り込み】についての話は有名なので、知っている人も多いかと思います。
 療育中、自閉症の子ども達にも【刷り込み】は起きるんだ、と思わされる事例をいくつも経験しました。
 
ある中度の自閉症の男の子の【刷り込み】はボールでした。
 
 彼は幼稚園の年長の時からこばとの療育に通ってきていました。発語は少ないながらありましたが自閉傾向は強め。年子の弟の下にもう一人の弟がいました。
 そのころ彼は幼稚園の集団の遊びにも参加できるようになっていましが、ボール遊びだけはダメでした。
 
 ボールとみるとすぐ横取りに行って 遊びとは関係ない方に蹴り飛ばしたり、抱えて逃げたりして、遊びになりません。友達も他の遊びには入れてくれてもボール遊びの仲間に入れるのは嫌がりました。
 
 その傾向は小学校に上がってからも続きました。
そしてボールの【刷り込み】がはっきりしたのはボーリングの時でした。

こばとは療育の一環として年一回、親子ボウリング大会とやっていたのですが、彼も小学2年の時参加しました。

 ご両親も一緒。ボウリング場は貸し切りでしたがご両親の顔には楽しみより、警戒感がありました。
 なぜなら息子があの重いボーリングのボールをレーンに向かって投げるのではなく、客席に放り投げるのではないか、と恐れていたからです。

 後でよくよくお母さんに話を聞きました。
 お母さんは年子で次男を妊娠した時、体がしんどかったので彼にかまう気持ちの余裕がなかった。
 一人遊びをしてもらいたかった。それで彼にボールを持たせて、一人で遊ぶように遠ざけていた時期があった。そうお母さんが話してくれました。
 
 彼にとって、ボールは彼とお母さんを引き離す憎い存在として刷り込まれたのかもしれませんね。
 お母さんが構ってくれるようになっても、ボールは憎い、嫌なヤツのまま記憶の底に沈んで、ボールを目の敵にしていたのでしょう。
 
 彼はボールでは楽しみを見出しませんでしたが、ご両親と山登りを楽しむ青年に成長しました。
 
 ボールとは逆パターンですが、どこで刷り込まれたのか掃除機などに異常なほど偏愛執着を見せた自閉症児もいましたね。

自閉症の世界

 

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