自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

鈍感痛覚

 自閉症の子ども達を療育していると、彼らの過敏と鈍感の表現には対応に苦慮することもありますねぇ。

 額や後頭での頭突き、顎叩き、手首咬み、太ももつねり・・・etc。
自傷の表現はさまざまです。
 自傷を目の前にすると 梅干を目の前にすると唾が出るように、誰しも痛みを想像し感じて「痛いからやめようね。」と言ってしまいます。

 ところが彼らは止めようとすると、あてつけるようにかえって強く自傷したりすることもあるんです。
 
 小学生低学年の夏合宿の時もありました。
 
 活動のためユースホステルの玄関前の芝生のある所に集合した時、何か気に入らないことでもあったのか、地面に額を打ち付けるという自傷を始めた重度の自閉症児がいました。
 ところが芝生の上では痛みの刺激が少なかったのか、わざわざ硬い舗装した場所まで走って行き、そこに額を打ち付けるという行動に出ました。

 激しい痛みが逆に神経伝達物質のエンドルフィンを放出して、快感になっていたりするのかしら?と想像してしまいます。

 稚児人形のようにかわいい重度の自閉症の男子はよく口内炎をだす子でしたが、普通ならひどく痛い口内炎もちょっとした違和感程度にしか感じないのか、口内炎を指の爪でほじくっていました。痛そう・・・やめて・・・見ている方が痛みを感じちゃう。

 怪我をして血がでても泣かなかったり、治りかけの傷のかさぶたをはがして、また血だらけにしてしまうなど、見ている側が眉間に皺を寄せてしまいます。

 痛覚が鈍感な自閉症児の場合、「痛いからやめようね。」の説得や懇願では自傷をやめてはくれません。やらないように手で押さえても放した途端やることもあります。

 自傷を止めるには、気持ちを落ち着かせ、さりげなくその行為から気をそらさせて別の事に注意を向けさせる。
 自傷で訴えることは有効なアピールにはならない、ということを子どもにわからせていく。
 
 療育者側の信念、気持ちの一貫性、安定感も必用かもしれませんね。

 

 

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