前回、痛覚が鈍感な自閉症児のことを書きましたが、逆に過敏すぎる聴覚が彼らを生き辛いものにしていることも多いですね。
通常、脳は聞きたい言葉、音を取捨選択して聞き取ることが出来ていますが、
音に過敏な自閉症の場合、ボリュウム調節不可のままいろんな音が混じって、ワァーと
押し寄せる状態なのかもネ。耳ふさぎをしたいくらいに。
また、ある音域の音が耐え難く神経に触るという状態もあるようです。
掃除機や洗濯機、ミキサーなどの家電製品のモーターの回る音が耐えられない。
子どもが家にいる時は掃除・洗濯が出来ないという家もありました。
百貨店などの大型施設のトイレにハンドドライヤーが設置されてから、それらの場所のトイレに入れなくなった子も結構いました。
モーター音以上の叫び声のほうが周囲の者にとって耐え難く思うけど、彼らにとって違うんでしょうね。
工事中の機械音がダメな子もいました。
特定のショッピングセンターに子どもが入れないと嘆くお母さんもいました。よくよく観察して、店内に流れるBGMが原因らしいと突き止めたそう。その音楽の中に混じっている何かの音が耐えがたかったのかもしれません。
不快音に敏感になっている子どもは、周りの者が「えっ、どこどこ?」というほど聞き取れないも音もキャッチしてしまうので対策に悩みますね。
近年、イヤーマフが売り出されてそれを使用する子も多くなりました。
でも人間は慣れる生き物でもあります。
療育していた頃は、社会トレーニングと称して大音響耐え難いボーリング場やカラオケにもよく彼らを連れて行きました。
始めは耳をふさいでいても回を重ねるうち、自分から楽しめるようになり青年期の余暇活動になりました。
音を避けて通らず、それらの場所に連れて行って良かったなと思っています。