自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

KY

    ひと頃,KYという<はやり言葉>よく聞きましたね。

「あいつ、KYだから。」なんて・・・。

 

  最近はとんと聞かないですね。KYだらけになって、気にならなくなったのかなぁ。スマホいじってるからKYなんてどうでもいいや!ってとこかな。

 

 KYという言葉が流行中の頃、私は世の中自閉症化(そういえば一億総白痴化なんて言葉もありましたね。)してきているんじゃないかと本気で危惧して、それはいまだくすぶり続けています。

 

 ところで空気を読まない筆頭、と言ったらすぐに自閉症を思い浮かべる人もいるのでは・・?。ちょっと待って!!。

 

 確かに彼らは<場の空気>を読むのは苦手、他人の気持ちは忖度しない。

しかし、自分のメリットに関わることに対しては、空気を読みすぎる、察知が早すぎる、動物的感知、センサーを持っているのです。

 

 そんな場面をたびたび目撃しました。

 

 目撃の一つ、これも補助教員・講師として「言葉の教室」に1年間勤務していた時のことです。

「言葉の教室」の隣には支援学級(昔は特殊学級)のクラスがあり、10数人の障がい児が在籍していて、2人の先生が担任していました。

 

 私も言語訓練の入っていない時間は支援学級に顔を出し、子ども達の補助。

その中に5年生の自閉症状重めの、発語もほとんどない男子がいました。

 

 食べる割に体も痩せていて、体の動きもスローで、カクカクした感じでした。

彼は体育そのものより体育館のマットに寝転んで天井を見上げているのが好きでした。

 

 でも、休み時間など黙って勝手に体育館に行ってしまうので、二人の担任の先生は困っていました。他の子も見なければいけないし。

 

 休み時間に子ども達が教室や廊下で自由に遊んでいる時は、二人の先生と私は入れ替わり立ち代わり、教室と廊下を見ていました。彼を見張っているという様子は気付かれないように。

 彼も廊下の窓際をぶらぶらと行ったり来たりして、体育館に行きたい素振りはちらりとも見せません。

 

 ところが、3人の大人の目が同時に彼から離れた時がありました。

「あっ。」と思って廊下を見た時はもう彼の姿はなし。そのことを2人の先生に知らせて、私は大股で体育館に向かいました。(廊下は走ってはいけないので)

 

いました。彼はすでにマットの上に寝そべっていました。

 

 私は気が付いて、すぐに大股で体育館に来たのだから・・・

そんなに時間はたっていないはず。

 

 彼は3人の大人の目が同時に離れたその一瞬を見逃さず、素早く行動。もしかしたら小走りで体育館に来たのかもしれない。

 スローな動き方をする男子なのに、同一人物とは思えない素早い行動。

 

 自閉症は、空気読まないどころか、自分にメリットのある時は空気読みすぎ、素早く察知・・・です。

 

 確かに、自分にメリットがない時に空気読んだって、何ぼにもならないしなぁ・・。

自分に正直と言えば正直、分かりやすいな。

  

自閉症の世界