自閉症は宇宙人みたいな言われ方をした時期もありまね。
呼んでも振り向かない。人と関わろうとしない。
ぶつぶつと独り言をいう。特定のものにこだわる。
手をひらひらさせたり、くるくる回ったり、ピョンピョン跳ぶ。
空を斜め見してまるで宇宙と交信してしている雰囲気!
取りつく島も見つけられない、原因や対応が二転三転したことも。
でも、彼らは自閉症である以外の個性の部分を色々もっているんです。
緑や紫が好きな子、棒や丸い形状が好きな子、きらきら物が好きな子。
ビーズ通しをさせると、男子であっても暖色系の色、ピンク系の色を好む子もいます。
16,7年くらい前の話になりますが 、4歳の男児とその両親が我がこばとにやって来ました。療育を希望して。
聞けば発達の遅れが気になって、公的機関で診断をしてもらったところ、自閉傾向があるのと、知的障害があるので普通級は絶対無理だと言われた。それではどうすればいいのか、を聞きたかったのだがそれはなかった、そうだ。
男の子は服を違えれば女の子に見えるだろう、と思うカワイイ顔をしていました。弟がいましたが、弟はどこから見ても男顔でした。
療育を開始すると、自閉性はほとんどなく、むしろシャイでした。素直な子でしたが、知的にはつまずくものが多く特に数字系が伸び悩みました。
しかし、性格はまじめで頑張り屋だったので普通級に進みました。療育でも早め早めに学校の学習の予習をしてあげたので、成績はまずまず。一方、学力テストのような初物、前もって覚えていないものはガクンと点数が落ちました。
5年生になった時、ご両親は中学を受験させたくて療育をやめ、塾に移りました。
受験には失敗しましたが、その後地域の中学、高校と普通クラスで進みました。
彼が高校3年の時です。ご両親から相談したい旨連絡がありました。
会う約束をし,やってきたご両親は、幼児の時に知的障害を宣告された時以上にショックを受けたような顔をしていました。
相談というのは、息子が学校が終わると女装してい遊んでいる。彼の部屋からも女装グッツを見つけた、と言う内容。
両親は愕然、唖然のあまり、彼を叱責する前に私にまず相談しようと思って連絡した、と言うのです。
私はご両親の話をじっくり聞いた後、言いました。
「彼にそのような嗜好があるなら、無理やりやめさせようとしても、逆効果になるだろうから事実を認めた方が・・・・」、ご両親「認めた方がいいですか・・・・」
私は彼にも会いたいと言いました。
彼が会いに来ました。
私は彼に言いました。
「高校時代にあまり問題になっても、自分に不利益になるから少し控えた方が。大学に行けばもっと自由度もあがるから・・・。」
彼も「分かった。」と言って帰って行きました。
彼は大学に入って、しばらくしてから私に報告がてら会いに来ました。
ピンク系のシャツがかなり似合うイケメン男子になっていた。
何か吹っ切れたようなすっきりした雰囲気を醸し出していたので、私は頑張って乗り越えたことを褒めました。
それからまた1年ぐらいして、美しい夜景のはがきが彼から来ました。
一人で香港に旅行をして、自分で撮った写真で作ったはがきだと書いてありました。
写真はなかなかの腕前。
彼はきっと素敵な大人になるだろうな。
写真はがきを見ながら誰かに自慢したくなったのを覚えています。