「あきらめない心」で紹介した、
<幼児教室・泣きの西の横綱>の彼からラインがきた。
彼がラインをしているのはこばとだけ。
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ラインには「 高知に行ったので、お土産を持って行きます。」とあった。
私もすぐに「楽しみに待っています。」と返事をした。
仕事が休みの土曜日、汗だくでこばとの事務室に顔をみせた。
「高知のお土産です。」
「ありがとう、高知はお父さん、お母さんどっちに実家? 誰と行ったの?」
矢継ぎ早の質問に、彼はゆっくり考えながら答えてくれた。
もともと、、ドモリ気味ではあった。
「お母さんの実家です。お母さんと兄と行きました。」
「お兄さん?上、下どっちのお兄さん?何人で行ったの?」
「4人です。」
そうか、お母さんは息子3人を連れて実家に帰ったのか、
さぞかし御祖母さんは喜ばれただろうな。
それから、見せようと思って撮ってきたスマホの写真を見せてくれた。
ウミガメとかエイとか、水族館でも地味なもの・・・・カメラアングルがいまいち。
突然赤ちゃんの写真、一番見せたかったらしい。
「誰の赤ちゃん?」
「じゅんやの赤ちゃんです。かわいいです。」
「いとこ?」
それから、いとこの話を根掘り葉掘り聞きだした。
いとこは彼とあまり年が違わないらしい。
彼は真剣な表情でだしぬけに言った。
「僕も家族が欲しいです。」
彼の兄は二人ともまだ結婚していない。
しかし自分とあまり年の違わないジュンヤといういとこが、自分の子どもだと言って、祖母の家に連れて来たのを見て、心境に変化が起きたらしい。
もともと、友達との関わりを求めない、好まない彼、
就職してからも友達と出かけるより、一人で気ままに出かけて楽しむ方を好んだ。
それでも余暇を楽しめていし、友達と一緒でなくともいいか、と私も思っていた。
私「家族を持つためにはまず結婚しないとだめだよ。」
彼「結婚したいです。」
私「結婚するためには好きな女性に結婚を申し込まないと、好きな人いる?」
彼「い、いません。」
私「まず、気に入った女性とデートするところからだね。」
彼「デ、デートですか。」
私「まず、メールとかで一緒に~に行きませんか?と聞いてみる。相手の都合も聞い
てみないと。
まずは何人か一緒に友達を誘う所から練習だね。友だちのメルアド知ってる?」
彼はスマホではなくガラケーを取出し、友達のメルアドを見せてくれた。
そこには支援学校時代の友達数人と、彼の話に時々出てくる女子の名前もあった。
彼「この前、友達に『お祭りに行こう。』と誘って行ったんです。」
私「何人で行ったの?うまく待ち合わせれた?何時に?どこで?」
彼は駅のエスカレーターの下で待ち合わせた。楽しかったと言った。
私「まずは何人かでお出かけして、一人の女性とデートするのはそれからだね。」
それからあれこれデートについて指南をした。
彼は聞き逃すまいと、真剣な面持ちで私を見つめ、ところどころ復唱した。
緊張する、と言った。緊張しちゃだめだよ、と私は笑った。
ドモリ気味ながら、あそこにも行きたい、旅行もしたい、ホテルにお泊りもしたい・・・と自分の憧れをしゃべった。
私「旅行はハードルが高いから最後だね。デートする時はお母さんにも彼女を紹介
するんだよ。」
あんなに1人が好きだった彼が、自分の家族を持ちたいだなんて・・・
幼児期、泣いてばかりで言葉もなかった彼がこんなこと言う日がくるなんて・・・・
想像できなかった。
自閉症が恋心を抱くようになる、というだけでもすごい成長だと
思うのに・・・・。
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自閉症はゆっくりゆっくり大人になっても成長していくんだねぇ。