自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

しぶとく出さない!

 

自閉症の幼児期療育において、最大の難関は排泄の習慣

 

文化的生活に不可欠なトイレ。

今の世界に生きるためにトイレ慣れは一番目にクリアさせたい目標だ。

 

kobatokoba-kosodate.hatenablog.com

 

トイレの便器の中に排泄するという行為を自閉症児に定着させるために、

大人の決意・覚悟・根気・忍耐が要求される。

そんなおおげさな・・・・ではない。

たかが排泄にどれほど振りまわされることか。

 

 

幼児教室の時も活動の区切りにトイレトレーニングを入れていた。

子どもは療育開始時、ほぼ全員おむつ状態。

 

kobatokoba-kosodate.hatenablog.com

 トイレトレーニングが進みにくいのは、昔と違って超便利な紙パンツの存在。

おもらしされてその後始末に追われたり、洗濯ものを増やしたりしないですむ。

おしっこをしたら燃えるごみで捨てればいい。

 

手を抜きたくなる。親の側の決意も鈍りがち。

 

親の側の便利さだけでなく、子どもの側の抵抗もある。

 

子どもはトイレという個室に入るのを嫌がる。

入れたとしても、下半身を裸にして便座に跨ぐことを嫌がる。

 

幼児教室でも座るどころか、便座に仁王立ちした重度自閉症の女児がいたっけなぁ。

 

それに、流す水音、穴に吸い込まれるように流れる水をひどく怖がる。

水タンクのつまみに手をかけただけで水が出るのを予感して怖がる。

 

ついつい騒ぎの回数を減らしたくて、紙パンツ卒業の決意がにぶり、

挫折を繰り返すことにもなってしまうのがトイレトレーニング。

 

というわけで、こばとの幼児教室でもトイレトレーニングには力をいれた。

 

療育日、子どもは入室するとすぐ紙パンツから布パンツに取り替える。

布の感触に慣れさせるためもある。

 

便座に跨がせて、スタッフは子どもの真ん前に膝をついて腰をかがめ

「おしっこ、シー。」を繰り返し言ったり、

おしっこの出てくる股間をにらみつつ「1・2・3・・・」と数を数えたり、

「あっ、でた!でた!」とうそを言ったりもした。

 

壁を触ったり手いたずらをさせない、気が散らないよう集中させる。

 

認知症入所者のトイレトレーニングを書いていたyo-princeさんのブログと

共通するところがありますね。

 

認知症の方の最新の排せつケアは紙(神)頼みだ!

認知症の方の最新の排せつケアは紙(神)頼みだ! - すべての道は介護に通ず【CARE❌all things】

 

活動中、布パンツにおもらししても、その場では取り替えず

すぐトイレに連れて行く。

もう出ないと分かっても、便座に座らせる。

「もうない?」と聞いてから、新しいパンツに履き替えさせた。

 タイミングが合ってうまく成功することもある。

1回の成功が、2回、3回となればしめたもの。紙パンツ卒業に近づく。

 

 

チン〇〇から水状のものが出てくる、という状態を見たことがないために、

笑い話のような話もある。

男児2人女児2人の四人の子どもを持つお母さんの話。

 

夏のある日、重度自閉症の次男をすっぽんぽんにして庭で遊ばせていた。

発語がなかった次男が何やら大声をだしながら、小便小僧状態で

縁側に向かって走ってきたそうな。

チン〇〇の先から噴水が出ているのに驚いたらしい。

 

チン〇〇のから何が出るか分からせるために意図的に細工をしたこともあった。

 

1回のトイレ成功もなしに幼児教室から幼児学習教室に移行させた重度自閉症男児

ほんとうにしぶとく、トイレでは一滴も出さない。

お母さんがしびれを切らして、ぬるま湯をペットボトルに入れ彼を便座に座らせた後、

トイレに流して見せた、と言っていた。

 

そこでこばとでも、彼を便座に座らせて、ぬるま湯を入れたペットボトルから

おしっこ同様の感じに、彼のチン〇〇にちょろちょろかけてやった。

それをじっと見ていた彼はつられたかのように、ちょろちょろと自身のおしっこを便器の中にだすことに成功した。

本当に赤飯ものの慶事だった。

 

ウンチの方は一日当たりの回数が少ないのでトレーニングも少なくなる。

しかし、ウンチの方は出そうな様子が分かりやすい。

急いでトイレに連れて行ったものの、出かかったものが引っ込んでしまう。

また、子どもの方も出そうになるとカーテンの陰に隠れたり、

隅っこに隠れて人にき気づかれないようにいきんでいたりする。 

 

ウンチの方は少ないチャンスを逃さないことだ。

出そうな顔つきになったらトイレに連れて行き、

とりあえず履いたまま便座に座らせて

それからすばやく布パンツまたは紙パンツを脱がせると成功することが多かった。

 

親御さんの覚悟、決意が見事だった例もある。

 

通園施設の年中児、重度自閉症の一人息子を連れたご夫婦が面談に来た。

息子は発語はなく、排泄の自立もしていないと言った。

息子は面談の傍で寝転んで、面談を止めさせたいのか大声をだしていた。

 

「もう、紙パンツを止めてもいい頃ですよ?」と私は言った。

通園施設でやってないのか?と聞くとやってない、とお母さんは言った。

 

「紙パンツじゃないとおしっこしないんです。」とお母さんが言った。

 

「紙パンツの感触がないとおしっこを出せないというんなら、この先ずっと紙パンツになりますよ。布パンツをはかせてトイレトレーニングしてください。」と私は言った。

 

 

 決意はすぐ実行に移され、帰ったその日に布パンツにしたそうだ。

合間合間にトイレに連れて行ったがしぶとくださない。

普通4,5時間も尿を出さないと膀胱炎になってしまうんじゃないかと、

親が根負けして紙パンツを穿かせてしまうところだが

 

ご夫婦は違った。

 

8時間我慢した。

8時間めにとうとう排尿した。

息子はその一発で紙パンツを卒業した。

 

「よく我慢できましたね」と言ったら

ご夫婦は私の話は信じられると思ったから、実行したそうだ。

 

息子はすらすらとはいかないが簡単な会話もでき、

真面目に学習に励んで、今特例子会社に勤めている。

 

彼は絵の方面では有名人で検索一発で出てくる。

こばとは検索してもなかなかヒットしないのに・・・。

 

 

 

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