自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

お父さん出番ですよ!

自閉症の子育てにはお父さんが欠かせない!

 

現代の日本の子育て世代では、イクメンが大モテだ。

さらに働き方改革で労働時間も短縮され、有給休暇、お父さんの育休も出来るだけ消化することが奨励さている。

自閉症の子育てに是非ともお父さんも参加して欲しい。特に男子の自閉症の思春期にはお父さんに要になってもらう必要がある。

 

 

戦後、家父長制が崩壊しても、まだまだ亭主関白が存在していた。

高度経済成長期の団塊の世代お父さんは、子どもが寝ている間に家を出て、

子どもが寝てから帰宅する。

お父さんは一家の主。

子育て、家事はお母さんにまかせっきり。

自閉症の子育てがどんなに大変な事か、知らずに母親をなじることもあったろう。

 

父親の権威、立場が危うくなってきた頃、さだまさしの関白宣言が出て

けっこう流行ったが・・・。


関白宣言 さだまさし



今はイクメンがもてはやされる時代になった。

育児参加のお父さんは増加傾向なのは喜ばしい。

 

しかし、自閉症児の子育てに参加となると、子どもが可愛いだけでは済まなくなる。

現実と向かいあい、自分の感情をコントロールする覚悟がないとできない。

肝が据わっていないとメンタルがやられてしまうし。

母親の支えにならないどころか、責任のなすり合いになりかねない。

 

平成20周年記念文集を読み返したついでに

7周年記念文集も読み返したら、

自閉症イクメンをやっているお父さんの文章があった。

バブル経済の頃の自閉症子育て参加だ。

 

色々なことが思い出されるが、文集に寄せた重度自閉症男児のお父さんの

文章を一部割愛しながらが載せるので、読んでもらいたい。

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7周年記念文集 表紙の絵は私が描きました。

 

「今こそ変わるとき」

          田〇健〇

        子ども(5才 )

 

 幼児期の状況を説明すると、誕生して一才までは、異常もなく健康に育ち,

一才半を過ぎても単語が出ず、2才検診の時に『専門の病院で調べたほうがいい。」と言われ、多種多様の検査を行ったが「医学的には異常は見られない」と言われた。

言葉はもちろん出ず、落ち着きもなくがまんできない多動型の子であった。

成長していくにつれて、県受持と自分の子の間にギャップが生じてきて。

皆の輪の中に入って行けず孤立状態。

ひとを噛んだり叩いたり物を壊したり悪いことばかり。

   途中省略

 家の中では生活習慣を身に着けえる練習も行っている。

だが、何をやるにも集中力がないので覚えようとしないし、

すぐ飽きてしまい大泣きしてその場から逃げたがる。

親もどうしてよ良いかわからない。

 

(保育園に入っていたが)

自分の子を育てるにあたり、子と接してしていく中でどうしても行き詰まりが出て、

細かく指導してくれる機関が欲しかった。

こばとに入会して、子に対する接し方、教え方が少しだが前進したと思う。

シール貼りが大好きで、絵単語カードも、自分で出して見るようになった。

家庭学習でも、シール貼りのように得意な物と苦手なものと混ぜ合わせ

徐々に時間を長くしていく。はじめから難しくせず、根気強く苦手な分野を

征服していけば必ずできると確信している。

  途中省略

どうしても親と子のやり取りがスムーズに運ばない時もある。

また、悪い事をした時感情的になり、子は泣きわめくだけ。

怒る事よりも、一つ一つ教えて理解してもらうことが大切だと思う。

いずれにしても子の成長は、親が努力しなければ進歩はない。

  以下省略

 

 

 息子は重度の自閉症こばとには4歳の時から通い出した。

 

療育希望の面談時には両親がそろって来た。

自閉症息子は比較的おとなしくしていたが、

 

帰り間際はお母さんに噛みついた

 

お母さんは痛そうにしてその場にうずくまった。

面談の場だったのでお母さんは叱りもせず何も言わなかった。

家ではきっと怒るだろうな、叩き返すこともあるかも、と思った。

 

お父さんは公務員だった。

息子と連れてくるのはいつもお父さん。

お父さんはこばとの送迎に合わせて、年休(時間休)を取っていたようだった。

 

自閉症男児こばとでは噛みつきもなく、学習も進んだ。

言葉もゆっくりながら出てきて、本人もしゃべろうという意欲があった。

几帳面で丁寧な子で、色ぬりは白い所が無くなるまで濃く塗り、

書字も濃くかっちりと丁寧に書いた。

 

こばとの連絡帳はお母さんとお父さんが書いてきた。

超偏食で、特に好きな食べ物もなく、引きかえが出来ない。

何が好きか?と聞くとDVDを見ることだと言う。

それじゃ、DVDと引きかえににしたら・・・それで偏食改善に成功した。

 

小学校は支援級にはいり、2年生の時、久しくなかった噛みつき

級友に対してあった。

何か嫌な事でもしつこくされたのだろうか。

 

激怒したお母さんは、噛みつくと痛いということを息子に教えるため

息子を噛んだと言いうのだ。

それから学校での噛みつきが増えたというのだ。

 

私は冷たいようだが、連絡帳にこう書いた。

「怒った時は噛みついてよい」ということをお母さんが学習させたんですもの、

しかたないんじゃない?」

 

それからしばらくして噛みつきはなくなった。お母さんも考えたのかも・・

 

中学校は支援学校に入った。

支援学級でもやれないことはなかったろうが、私が強く勧めた。

 

支援学校では読み書きが出来、作業は真面目で丁寧。

自転車にも乗れ、縄跳びも出来る。

ゆっくりながら言葉も出る。とても重宝されたようだ。

 

他校との交流の時は代表で挨拶をさせられることも多かったそうだ。

 

ネグレクト気味のお母さんに代わって、重度自閉症息子君の療育に心血を注いだのは

お父さん。

 

ta-sanのpapa みたいですね。

 

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ホントはいい子