自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

怯まないで!

自閉症児の育て辛さ

 

幼児期の自閉症の療育で親がつい怯んでしまうのは、

子どもの反応のは激しさ、または無反応。

 

何がそこまで気に入らないのか・・・

寝ころんで暴れるほどそんなにも嫌なのか・・・

まるで虐待しているみたいじゃないか・・・  

これしきのことにエビぞりしてまで嫌がらなくても・・・

完璧無視顔、必死で関わっているこっちがバカみたいじゃないか。 

 

 

幼児期の自閉症の子育てをしている親にはあるある経験だろう。

2才児のいやいやなんて生易しいものではない。

過去記事に書いた自閉症男児もそうだったが、

 

 kobatokoba-kosodate.hatenablog.com

 

自閉症我が子の過激反応に怯んでしまい、手を出せないお母さんもいる。

 

こばと7年の記念文集には、長男、言葉のない重度自閉症男児(当時、幼稚園年長)のことを書いたお母さんの文章があった。

 

前文略

 

 思えば、赤ちゃんの頃から”高い高い”も嫌いで、

手足を持って揺らして遊んであげようとしようものなら、

体は硬直し、くちびるは真っ青、顔葉おびえた様に引きつり、

そんな様子を見ると、何もそこまで嫌なら、と逆にかわいそうになって

自然と体を使った遊びはやらなくなってしましました。

 ですから、正座、鉄棒、マット運動など、他人に体を触られて、

自分の予期せぬ体勢を取らされると、同じような状態になってしまいます。

 

こばとの行事)体育の集い』での様子を見て、

4月から小学校での体育の時間は何も出来ないのでは、

という不安が募りましたが、こばと先生に励ましていただき、

それからは私も心を鬼にして、泣き叫ぶ息子を少しずついろいろな体勢に

慣れさせていく事から始めました。

 今年に入ってから、先生やスタッフの方から

「長男ちゃん、今日はそんなに嫌がらずに自分からマットや鉄棒をしたんですよ。」

と報告していただいた時には信じられない気持ちでいっぱいでした。

あんなに嫌がっていた正座も今では、自分から正座して、

板の間でもどこででも何時間?でも座っていられる状態になりました。

 

後文略

 

 

長男君は口形模倣はするものの言葉はほとんど出なかった。

無声音に近くて。

しかし、自転車にも乗れるようになったし、縄跳びも上手に跳べた。

読み書き、数。数字も出来た。

 

中学は支援学校に行った。

 

 支援学校は長男君より判定上は軽度の生徒が多かった。

皆、自転車や縄跳びはあたりまえに出来るものと思っていたが、

出来ない子が多かったので、お母さんはびっくりしたと話した。

こばとでどれほどのことをやってきたのか初めてわかった、と言っていた。

 

 初めてのことや、見慣れぬことをやらせようとした時、

重度自閉症の子どもの拒否る態度は尋常でない、。

そんなに嫌な事なら無理にやらせなくたって、

これはこの子の個性となんだ。

となってやらせて、怯む気持ちに納得させてしまう。

 

こんなこともあった。

 

 こばとの幼児教室に入った自閉症男児

とにかく、えんっぴつもクレヨンも持ちたがらない。

持たせようとすると全身で暴れる。

 

 二人がかりだった。

ひとりのスタッフ人が男児を抱っこし、もう一人のスタッフが

クレヨンを持たせた手を介助して色ぬりさせた。

「ほら、きれいでしょ!」とか[お絵かきは楽しいね!]などと言いながらも、

顔は笑って、汗だくだった。

子どもが全身で暴れる時は大人も全力ださないと。

 

 あんなにあんなに抵抗した鉛筆クレヨンだったが、

その後お絵かきが彼の一番好きな事、遊びになった。

 

 初めての夏合宿の時は、二人がかりで引きずるようにして連れて行き、駅のホームで駅員さんに虐待しないで下さい、とまで言われた自閉症男児

彼はその後、夏合宿をとても楽しみするようになった、ということもあったけ。

 

見極めが難しい所ではあるが,いやよ!いやよ!も好きなうち、ということもある。

 

低年齢の自閉症児は拒否の行動が、ストレートに激しい。

思わず怯んでしまったり、チャレンジさせようという気持ちが萎えてしまう。

 

親や周りの者もそんなにいやがるんだったら、

自閉症はこの子の個性なんだから無理にさせないでもと・・・ついつい。

 

試し行動をスルーする時も怯んだ気持ちでスルーしてはいけない。

子どもに見抜かれてしまう。

 

自閉症を成長させていくためには周りの根気忍耐がどうしても必要だ。

可能性を伸ばすためにはまわりの手がどうしてもいるの。

 

自閉症児は拒否しながらも心の中ではセイブ・ミーと言っているのだ。

 

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