平成元年と令和元年では隔世の感がある。
たった30年なのに,
自閉症を取り巻く環境も療育も世間の目も本当に変わった。
前記事のデート願望の自閉症青年は願望を実現した。
自閉症は感情表現が乏しい?・・・どうして!!どうして!!
デートを実現している自閉症青年は他にもいる。
こばと出身の今年30歳になった青年は、数年前からデートを実現している。
過去記事でも紹介したことのあるカレンダー少年だ。
kobatokoba-kosodate.hatenablog.com
彼はちょくちょくメールをこばとにくれる。
先日も彼からメールが来た。
彼は職場名をメルアドの中に組み込んでいるのですぐわかる。
3・4時間で登れる山です。富士山も見えます。
大月にはリニア鉄道博物館が有ります。
今そこで研究しています。
研究している、ということは
彼とガールフレンドはリニア鉄道博物館で見学の最中ということなのだろう。
彼はリアルタイムでメールを送ってよこして、
ちょっと自慢したかったのかもしれない。
彼と彼女は鉄道や山登りの趣味が合うようで、
1,2ヶ月に一回の割合で出かけているようだ。
鎌倉で待ち合わせていると言った、電車の中からのメールもあった。
いつもは予定、スケジュール、先の計画のメールがほとんどだ。
予定のメールはくれるけど、行って来てどうだったか、の感想は一度もない。
彼に限らず自閉症は未来の予定、スケジュールはとても気にする。
きっちり把握し、細かな時間まで覚えていたりする。
実現してしまうと、すぐに過去になって、感想を聞いても大したことは出てこない。
しかし、忘れたわけでなく引き出しの奥にきちんとしまわれているようだ。
彼も今頃になって、
小学生の時の初めて2泊3日のサイクリングの夏合宿のことを
唐突にメールしてきたりする。
サイクリング活動の終盤で、リードにつながれていない野犬?が出てきて、
彼がひどくビビったことを、私が覚えているか?と。
ビビり方が尋常じゃなかったので覚えている、と返信した。
彼はガールフレンドとよく出かけるので、
彼女なのか?とメールで聞いたことがあった。
彼はきっぱり彼女ではない、ガールフレンドだと言った。
それでも結婚の2文字がよぎるようで、
結婚式はやったことがあるか?だの、披露宴には出たことがあるか?だの
メールで私に聞いてきたこともあった。
一昔前は障害者同士で出かけることなど考えられなかった。
しかし、今や社会生活能力があれば、
社会のルールにのっとった行動、金銭管理が出来れば、
当たり前にレジャーを享受することが可能だ。
中学生の社会トレーニングをやっていた時のこと、
活動で中学生10数名をカラオケに連れて行った。
二人だけ出来ていた。
ということは、交通の利用も、金銭の支払いも、店のやりとりも
自力で出来ているということだ。
時代はどんどん変わっていくだろう。
健常者と障害者の垣根もどんどん低くなっていくに違いない。
自閉症も個性だから、などと支援に甘えずどんどん自分をどんどん発揮できるよう
努力(周りの根気、忍耐でもある療育)が必要だ。
パラリンピックでは知的障害者の陸上、水泳マラソンなどがあるが
体格、体力では健常者と変わることがない知的障害。
今後は自閉症にあったトレーニング次第で、障害の枠が取り払われて
健常者と一緒に競技ができる時代がくるのではないか。
デートや恋愛があっても悪くない。
手助けや見守りが必要な事もあろう。
違っていても、偏見・差別を持たず補い合って、
ともに人生を楽しめたらいいのだ。