自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

相貌誤認(失認)

 前回、自閉症児のなかには、叱られても、怒られても振り向いてかまってもらえることがうれしい、というタイプがいると書きました。

 

 叱れば叱るほどいたずらがエスカレートする。

 

大きな怒声にびくッとして、一時はいたずらを止めたりするがすぐ再開。

叱責・注意しているのに、きらきらした目でうれしそうに笑う。

小ばかにしたような表情をして、反省の素振りも見せない。

さすがの大人もむっとしてしまう。

 

悪循環。

険悪な関係が出来上がって、かわいがられない自閉症児になる可能性大。

 

 自閉症側に叱られる原因になる<相貌誤認(失認)>の気があるのは知られていることで・・・誰しも出来れば叱りたくはないのだが。

 

 怒っている顔が怒っている感情・気持ちのの表れとは思わない。

 泣いている子がいると珍しがって、もっと近寄って見ようとする。

 共感性の欠如もこの相貌誤認(失認)に起因するのでしょうね。

  

 小学校の中高学年の療育のプログラムで<表情確認>をやったことがありました。

 

 大人の喜怒哀楽を表している表情の写真を見せて、該当する写真を選び取らせる課題だったのですが、かなりの確率で誤答するのです。

療育中、ある国際結婚のお母さんからこんな話を聞きました。

 

 長女は言葉のない自閉症。ハーフでしたが、小学生低学年ながらナオミ・キャンベルのような美貌で、スタイルもよくスラリと背が高い子でした。

 

 一家は県営の団地に住んでいましたが、ある夕方、隣家で大ゲンカがあり、ベランダをのり越えて隣家の女性が彼女の家に飛び込んで来たというのです。

 

 お母さんは、その女性が血だらけだったので仰天,心底怖かったと言いました。

しかし、それよりも娘が手を叩いて笑っているのを見て凍りついてしまったとも。

 

 療育に来て、そのことを話すお母さんの顔は、娘の不可解な行動が理解でしなくて混乱している様子がありありでした。

しかし、お母さんには自閉症には相貌誤認(失認)のような症状があるので、状況を理解していなかったかも、と軽く言うに留めました。

 

 美少女の娘は言葉こそありませんでしたが、美的感覚があり(工作の時など)風変わりな絵をとても上手に描いていました。

 血だらけの隣人の女性を絵画的に見ていたのかも。

 

  相貌誤認(失認)は自閉症が対人関係をうまく築けない一因にもなっていますよねぇ。

 

 んーーーーーーん、自閉症児が誤反応しているなと思う時は、ひたすら無表情で場面をリセットして、自閉症児の不適切な表情を消去させるのが一番かなぁ。

 

 

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