自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

続セクシャルハラスメント

ドール

 

現在、脳の機能障害は

発達障がいから自閉症スペクトラムいう大枠で

括られるようになっって来ているが、

自閉症スペクトラムの症状は千差万別・十人十色。

 

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境界線は皆ぼやけている

 

 

知的に重度の障害もあれば、知的には問題のない高機能もいる。

 

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成長によっても変わってくる

 口腔内の構造、舌の使い方に問題があって、意識的に息を吐き出せない。

ハ~~ッ、ア~~ッ、がなかなかできない発語・言葉のない子もいれば、

 

あたりかまわず、頭に浮かんだことをすぐに口に出す、

喋りすぎる子、むずかしい単語、辞書言葉を使いたがる子もいる。

 

感覚も敏感だったり、鈍感だったりして、

家族を巻き込み、生活に支障が出てくるほどの子もいる。

 

情動・こだわりが激しくて育てにくく

世話する大人の精神状態にダメージを与える子もいる。

 

その一方、自閉症と診断されても

情動がそれほど激しくなく、言いなりというより介助されがままだったり

人と接するのを嫌がることもなく、むしろ子べったりの子どももいる。

扱いやすい、世話しやすい。

 

 

自閉症スペクトラムな割合的には男子が圧倒的に多く、

(その証に、こばとの夏合宿では男子部屋が5~6部屋に対して

 女子部屋はいつも1部屋、しかもスタッフと共用。)

女子は少なかったが、症状的には重めの女子が多かった。

 

黙って座っていればどこに障害があるのだろう、と思える女子もいる。

目が合わないわけでなく、目が会い過ぎる、パッチリ見つめてくる子もいる。

 

言葉はなく知的には重度だが、目はパッチリの美形の女子は何人かいた。

 

 言葉がないが行動はおとなしく、指示通りに動き、人なつっこいタイプで

美形とくれば、それはそれで私は心配。

ドールになってしまいかねない。

 

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長い髪の人形

 

彼女も大きな瞳のそんな美形自閉少女の一人だった。

 

年長から療育に通って来ていたが、

長い髪の毛を縛らず、背中に垂らしたままにしていてた。

うつ病を患っているというお母さんも

髪の毛を縛らず腰まで長く垂らしていた。

変わった雰囲気の人だった。いつもブーツを履いてきた。

 

女児の髪の毛が何かに絡んだり、挟まったりするのが心配なので、

お母さんに、三つ編みにしてはどうかと提案した。

お母さんは縛るつもりはなく、「お父さんの好みだから。」と言っていた。

 

女児は言葉が出ないということ以外、目立つ自閉的は行動やこだわりはなく、

いたって普通の雰囲気だった。

一つ違いの定形発達の妹がいたが、妹は言葉のない姉に嫉妬していた。

それは父親が姉を溺愛しているからだと言った。

よくしゃべる妹だった。

母親も父親の溺愛ぶりを認めていた。それが嬉しそうだった。

 

就学後も母親が電車に乗って長女をこばとに連れて来ていた。

 

私は内心、母親の嗜好を困ったことだと思っていた。

いつも、女児には大人顔負けのファッションをさせて連れて来るのだ。

マニュキアやキラキラグッツを着けて来ることもあった。

 

まるでアイドルのように。父親に気に入られるためだろうか。

 

私は電車内で児童ポルノ向けに盗撮されるのではないか、と心配した。

お母さんにもそれとなく話した。

車内で男の人から、「この格好はお母さんがさせているのか?」と話しかけられ

怖い思いをした、とお母さんも話してくれた。

が娘のファッションは一向に改まらなかった。

 

女児の父親が迎えに来ることもあった。

母親と一緒の時は電車、父親の時は車。

 車で来るためかサンダル履きのラフな格好で来ることが多かった。

 

高学年になった頃、女児は父親が迎えの時は

駐車場に車を置いて離れたところで待っている父親のもとへ

笑顔で小走りしてた。

少し離れたところで待っていた、父親は娘の肩を抱き寄せ、

仲良さそうに帰って行くの見送る私、苦い思いがあった。

これが虐待なら言いようもあるのだが。

 

ある時、女児のお迎えの時間と場所についてい少し手違いがあった。

ほんの数分なので何の事故もなかったが、

母親から非常な苦情がこばとに寄せられた。

女児のあのファッションで電車で通わせることに危惧を抱いていた私は、

ちょうど良いきっかけなので療育を中止することを申し出た。

母親からはクレームが来たが、ひたすら手違いを詫び、中止は取り消さなかった。

 

 

前記事で書いたように、娘の方から父親と距離を取ろうとしてくれる場合はいいが

父も娘も幼児期の感覚のままのことがある。

 

自閉症男子に対しては4年生までには一人で風呂にはいれるよう

夏合宿でお風呂指導を徹底し、保護者にも厳しくアドバイスしてきた。

 

が女子の場合はうっかりしていた。

6年生になっても父親と一緒にお風呂に入っている女子がいたのだ。

母親公認のもとに。

それがある時、父親と一緒に風呂に入っている最中に

癲癇をおこしたのだ。それでわかった。

 

女児も夏合宿では自分で入浴出来ていたので、

(大風呂なので女性スタッフもいっしょではあったが)

家庭でも一人で入っていると思っていた。

 

お風呂も癲癇の発症リスクの高い場所ではあるが、

父親といっしょの入浴中とはおもわなかった。

 

お風呂の自立についてはずう~ッとしつこく言ってきたのに、

家庭ではあまり重視していなかったようだ。

 それにしても、真っ裸のお風呂での癲癇。

父親と一緒だったことが、良かったことなのか、まずかったことなのか・・・

 

なにも、女子ばかりではない。

 

 

 

言葉で言えない、言いなりになる、善悪を判断せず指示されたままやってしまう、

自閉の症状の困った特性の一面であるが

セクシャルハラスメントにつながることもあるのだ。

 

 

 男子もセクシャルハラスメントを受けるということに気を配ばらなければならない。

 

通常学級の男子が支援学級の高学年男子に

ズボンを脱がせた、という話は何度か聞いた。

自閉男児は拒否する言葉もなく、

ただ言いなりになって指示にしたがってしまう。

 

思春期に差し掛かった男子は性への好奇心が半端ない。

支援学級高学年男子に陰毛が生えているかどうかみてみようと、

友だち同士、けしかけ合うのだろう。

 

 

 

性教育は障がいのある・なしにかかわらず、むずかしい。がやらねばならない、

子ども達、本人の心も成長させなければならない。

 

そして、自閉症の子ども達にも嫌ことは嫌だといえる

拒否する気持ちも育てなければならない。

 

自閉症療育はむずかしい。

 

拒否しないよう、がまんできるように教え、

次に拒否してもいいことを教えなければならないのだから。

 

 

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春だなぁ