自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

続・愛着障害

奥が深い愛着障害

 

愛着障害】の種になりかねない状況にたいして、

思春期前であれば、

子どもの側のわかりやすアクションで

親も対応を考え、態度を変えることが出来るだろう。

 

前記事の例が、種の解消つながったかどうかはわかならないが・・・

 

しかし、【愛着障害】の種・芽はどこにあるかわからない。

 

自閉症は症状が出てから愛着が育ちにくいと言われがちだが

生まれた時からすでにあるようだ。

 

多人数を療育していた頃のこと、面談の時に

重度自閉症の子を持ったおかあさんから

出産時の話を聞くことがあった。

 

あるお母さんは、次男を産んだ時、なんか長男の時とは違う感じがした、と言った。

うまく表現出来ないけど、なんか違う…みたいな、何とも言えない感じ。

 

また、あるお母さんからは長男を産む間際になって、

本当は嬉しい、待ち遠しいはずなのに、

ただただ、訳もなく悲しくて悲しくて涙が出た。

きっと苦労するんだろうなぁ、と何となく感じた、と言っていた。

 

また、別のお母さんは

重度自閉症は人に関心を持ちにくいというのは知っているけど、

息子は懐かないというより、なんか私を避けている感じがするのよね、と言った。

出産の時はどうだったんですか?と聞いた時、

出産直後に医療処置が必要で、抱く前に離されてしまった、といっていた。

 

出産時の状況も【愛着障害】におおいに関係するのかもしれない。

 

かって、スタッフ補助のアルバイト大学生、何人かに

退行催眠をやった時、胎内の記憶もあるんだなぁ、とわかって

自閉症児達にもあるかも、と思うようになった。

 

愛着障害】は虐待やネグレクトなど、

因果関係が分かりやすいものばかりでなく、複雑な経過のものも多い。

生き辛さの多くがその範疇に入るようだ。回避型愛着障害

 

 

岡田崇司氏の「死に至る病」の中にかかれているが、

愛着障害が発現するのは何も思春期ばかりでない。

それまで何事もなかったように順調に生活していたと見える人でも、

結婚後や子供を産んでから【愛着障害」が現れることも多いという。

 

 

私も聞いて驚いた話がある。

 

こばとの療育に通って来ていた家庭の話。

3人子どもがいた。

上2人は女の子で3人目が男児

 

男児自閉症ではなかったが、癲癇があり発作は重症だった。

発作後は協調運動、空間認知などに障害がでた。

両親は協力的で療育に熱心だった。

あまり年の離れていない2人の姉も面倒見がよく、家族五人は仲良さそうに見えた。

 

男児普通高校を卒業した。

真面目ではあったが、かなりの不器用さがあったので

支援なしの就労は厳しく今は障害者枠で一般企業に就労し

親と同居しながら社会人生活をおくれている。

 

出歩くことが少ないので、親に勧められ

仕事が休みの日に、こばとにパソコンを習いに来るようになった。

私は、パソコンの合間に彼の家族の様子を聞いたりしていた。

 

2人の姉は結婚したという。

一番上の姉は結婚したがすぐ離婚したと言った。

2番目の姉には子供がいることや、住んでいる所を話してくれたが

1番上の姉はどこにいるのかわからないという。

 

どこにいるかわからないって・・?????

 

しばらくたってから、彼のお母さんに会って話をする機会があった。

 

長女さんの話になった時、

お母さんは苦脳を乗り越えたように穏やかに話した。

長女さんは結婚して、子どもが出来る前に離婚した。

その時に思いもよらなかったことを長女さんから言われた。

癲癇持ちの弟が成人するまでの間に

いかに自分が抑圧された生活を送っていたかを。

 

思ってもいなかったことだったそうだ。

 

両親は驚いたが長女さんの話を受け入れた。

しかし、その時長女さんの気持ちは、

親との縁、家族との縁を切る、と言う所にまでなっていて

その後、音信不通になった。

 

両親は居場所だけは確認しているようだが

連絡は長女さんから取ってくるのを待っている、と言った。

 

ちなみに、次女さんは結婚し、子どももいて親とは世間並みに行き来がある。

 

環境は同じでも、長女さんと次女さんの受け止めの違い、

愛着障害】の芽が出る、出ないの違いは何だったんだろう?

 

虐待やネグレクトでなく、

育て方・・・言葉や躾も種、芽になるとしたら

難しいテーマだな、親にとって。

 

 

 

つらつら振り返ってみれば、私も愛着障害かな?

そして、息子達にも愛着障害の種を蒔いたかもしれない。

 

同じ環境であっても、子どもがもって生まれる性格によって

どう受け止めるかは違ってくる。

 

そこは親にもどうしようもないのだ。

 

ということをわが4人の息子から学んだのだが・・・・。

 

このことはまたいつか書いていこう、とおもう。

 

自閉症も奥が深いけど、愛着障害も奥が深いなぁ~。

 

 

f:id:kobatokoba:20200521171916j:plain

今年の欅の繁茂は半端ないなぁ