自閉症の療育では指示やパターンが入りすぎて、逆に「ん~んじれったい!」になってしまうこともあるんですよねぇ。
集団生活に適応させるために、療育する大人はいろいろな約束事・ルールを守らせようとします。
きちんと列に並ぶ。
列に並んだら、前の人の背中に胸を密着させたりせず、"小さい前ならえ”程度の距離を保つこと。
前の人を押したり、先走って追い越したりしない。
進む時は同じ速さで歩く。駆け足する・・・etc.
これら諸々の行動が出来てくると成長を感じ、態度も立派に見えて感激します。
ところが学校恒例の冬季マラソン大会となるとこれらの長所があだになることも。
小学校中学年になった自閉症男子。障がいは重度ながらなかなかの体格で運動神経もあり体育会系。
最初の頃のマラソン大会では先生に手を引かれたり、伴走してもらっていたのが経験を積むうち介助なしでも走れるようになりました。
体力もあるし足も速い(特に逃げ足の時)きっと良い記録を出すだろうと親の期待大。
スタートを切ると彼は友達の後ろにぴったりついて同じ速度で走っていた。前を走る友達より速く走れるはずなのに・・・。しかも前を走る友達が速度を落とすと、同じように速度を落とし、追い越さないように足踏みまでする始末。
期待して応援に行ったお母さんはじれったくてしかたがなかった。
お母さんから、「足は速いのに、どうしても追い越そうとしない、どうすればいいんでしょう。」と悩みを相談されました。
ん~ん
「来年は、ご褒美で釣ってみましょうか。一人ぬいたら晩御飯はステーキだよ!!
とか、スタート前にいってみてはどうかな。」
速く走れるのに、前の走者を追い抜かない自閉っ子は何人もいました。
このパターンをアウフヘーベンしていく工夫が療育に求められますね。