自閉症児を療育していると、療育ジレンマに落ちることもありますね。
幼児期の自閉症児の最初の悩みは指示が通らない、指示に従わないことです。
着席が続かない、声をかけても指示に従わない、周りの者が困るいたずらをやる・・・
多動に振り回されて子どもの後を追いかけてばかり、
親や療育者は何とか指示に従えるように手段を尽くします。
身辺自立にしても、とにかく指示に従って行動してもらわねば始まりません。
大声で叱ったり、力ずくで抑えたりするとさらに多動や、困ったいたずらを増幅させてしまうのでひたすら平常顔と忍耐で指示をだします。
指示が通るようになった時は成長を感じて嬉しさもひとしお。
ところが、もう自分で出来るようになっているんだから指示されなくとも、自分で判断してやって欲しいという時期が来ます。
なので指示を出さずに見守っていると、じっと指示を待っている。
指示待ちパターンの自閉っ子になってしまうこともあるのです。困ったことに。
小学校の高学年30数名を少年自然の家、2泊3日の夏合宿に連れて行った時も、指示待ちパターンを崩すのが一苦労でした。
登山休憩時、自販機で自分の好きなジュースを買わせたのですが「いいよ。」という指示があるまで、ボタンが押せない!指はまさに押す状態までいっているのに・・・。
朝歯磨きをやるところは手順通りで「よしよし」、だったのですが「口をすすいで!おわり!」と声をかけないといつまでも自分で終わりに出来ない。
指示待ちパターンを崩すのに、あの手この手を考えました。
目線で合図を送ったり、ちょっとした仕草でわからせたり。目を合わせないようにして無言で行動を促したり・・・。
指示&指示待ちのジレンマを乗り越えるには、療育する側もパターンに陥らないよう気をつけないと。