自閉症の療育は次から次とジレンマの連続です。
自己中行動→指示を理解させる。→指示に従って行動できようになった、よしっ!
しかし、指示待ちになる恐れあり。指示待ちならないようよく観察する必要あり。
指示を待たずに、自分で判断して行動できるように、誘導していく。
自発的に、自主的に行動できるようになった、よしっ。
ところが、自閉症の場合これでやっと完成だ、と喜んではいられないのです。
自発的行動は先走り行動になる傾向があり、ぐるっと一巡して自己中行動に戻ってしまうこともあるのです。
【先走り】に困っている、というお母さんは結構いましたね。
今夜は肉じゃがを作ろうと、肉、ジャガイモ、玉ねぎなど用意していると,それを見ていた子どもはさっとカレールーを持ってくる。
「今日はカレーじゃないよ!<肉じゃが>だからルーはしまっといてといて!!」と、いくら言っても勝手にルーを割って鍋に入れようとする。
出来るようになったはいいが、(先走り&思い込み)を変えにくくなってしまった、と嘆いていました。
療育中、夏合宿でもありましたよ。
例年、合宿の一か月前には、活動内容ととスケジュールの時間を書いた「しおり」 を参加児童の家庭に配っていました。
子どもはきっちりはしおりを読み込んで記憶し、活動を楽しむよりもスケジュール通りに進行しているか、時計ばかり気にする子もいました。
それより問題なのは<先走り>です。
次にやることがで「しおり」で分かっているので、指示を待たずに行動してしまうのです。
小学生低学年の夏合宿の時です。ユースホステルでは部屋にに入って、荷物整理をした後、グループ毎にまとまって風呂に行く予定でした、
「あれっ、〇〇君いない!どこ行った?」スタッフはあせって建物の中を走って探しました。〇〇君はユースホステル合宿は経験済み、勝手知ったる我が家。
すました顔で着替えと風呂道具を手に持ち浴室の前に立っていました。
自発性と先走り…療育のジレンマです。