自閉の症状、表れ方は十人十色
彼らの行動、やることなすことが
自閉の症状に起因する特有ものと思ってしまいたちだ。
しかしそれは自閉症というバイアスのかかったため、
決めつけということも多分にある。
彼らの行動には、本人の成育環境が大いに関係してくる。
一人っ子か?
長子か?
二人兄弟か?男男か? 男女か? 女女か? 双子か?
三人兄弟の真ん中か? 男女の組み合わせは色々。
末っ子か?
祖父母と同居か?
etc.
プラス持って生まれた本来の性格。
長子の性格。
次男、次女の性格。
一人っ子の性格。
末っ子の性格。
大胆、臆病・・・
自閉の症状の中に上記の性格が見え隠れする。
言葉のない、重度の自閉症であっても、目もよく合い素直な性格の子もいる。
指示されたことは
指示の内容は理解していなくとも、介助されながらではあるが従う。
されるがままと言えばそれまでだが。
中には指示されたことは分かっているが
頑固に指示に従いたくないという自閉症児もいる。
やれば出来ないわけでもないのに
反発する。わざと反対のことをやったりすることもある。
指示されたことに、意に反して従い、
良く出来たことを褒められても嬉しそうな顔をしない。
逆に、うっかりやってしまった自分に腹をたてている感じさえも見えるのだ。
幼児教室の療育をやっていた時のこと。
kobatokoba-kosodate.hatenablog.com
自閉症と診断され、療育の通園施設に通っていた、
4才児の言葉のない彼も、指示されるのが嫌いだった。
視線も良く合い、目ヂカラがある。見るからに利口そう。
こばとに通わせたいというお母さんの面談では、
何でも物を投げる、というのが最大の悩みと言っていた。
スプーンを持たせれば即、投げる。
クレヨンを持たせても即、投げる。
言葉が出ない事よりそっちの方を悩んでいた。
優しいちょっと、気の弱そうなお母さんだった。
お母さんは指示に従わせるのが大変だと言っていた。
上のお姉ちゃんとは年がだいぶ離れていたので、一人っ子に近かった。
幼児教室プログラム、制作・体育・給食・集会
彼が物を投げる前にスタッフが無言のガード。
トイレトレーニングでは数唱しながら便座に座らせていると
復唱が出るようになった。
不承不承ながらことばの復唱もするようになった。
鉛筆、はさみ、クレヨンも持つようになった。
自転車にも跨ぎ、
スタッフが持つ縄跳びの縄をピョンと足を揃えて跳ぶようにもなった。
母子分離の幼児教室が終わると、お母さん方が迎えに来る。
その日はよく晴れていた。
お迎えのお母さんに引き渡すため、
私も教室の外に出て路上でお母さん達と立ち話をした。
件の彼もお母さんの傍によってお母さんと手を繋いだ。
復唱が出ていることをお母さんに報告し、彼に言わせると
お母さんはびっくりしていた。
私は彼の目線の高さに腰をかがめ、手を振ってバイバイした後
投げキッスを彼に送った。
するとこともあろうに、
彼はその投げキッスを空で掴んで、地面に投げつけ足で踏みつけたのだ。
信じられます?
唖然とした。開いた口がふさがらなかった。
それから、笑った。
彼は投げキッスの意味をよく知っていたのだ。
彼は私の指示に従っていたのが忌々しくて仕方がなかったのだ。
発語が出たりお絵かきしたり、鉛筆はさみを持つことは
彼には全然うれしいことではなかった。
彼は言葉がなく多動だったので、自閉と診断されて通園施設に通っていたが、
どちらかといえばADHD系になるであろう、子どもだった。
その後、
お母さんが一人で彼を説得して、電車に乗せて連れて来るのが大変!
ということで療育は中止した。
お父さんの協力はなかった。
車で通って来ていれば、きっと続けられたと思うのだが、
惜しい子供だった。
電車好き、鉄ちゃん系の・・・
彼は年の離れたお姉ちゃんと両親、3人の保護者に囲まれて、
王子様のような生育環境だったんだろう。
しっかり療育すれば出来る子に育ったろうが、今どうしているかな。
思春期をうまく乗り越えているだろうか?
追記
白内障の入院手術のため、ちょっとの間ブログお休みします。