自閉症のお母さん方の中には、
我が家の自閉症児はプライドが高くて・・・とか言う人もいます。
自閉症を良く知らない人は、えッ、プライドが高いって?
自閉症児にもプライドがあるの?なんて失礼な声が聞こえそう。
自閉症も本来持ってまれた性格があるのです。
2番目は2番目らしい性格、末っ子は末っ子らしい性格、素直な性格もあれば、必ず反対事をしたがる子もいます。
お母さん方は嘆きます。
プライドだけが高くて、出来もしないくせに、頑張ろうとしないんだから。
出来ないくせにプライドが高いとはどういうことか・・
おそらく彼らは
プライドが高いので自分が出来ない所は見せたくない、
難しい、出来そうもない、出来ない事ならやらない方がまし。
上から目線であれこれ指示されるのがいや。
そのかわり、自信のあることにはやる気を出します。
自分が皆の称賛を浴びるそうなことは得意げにやります。
年長の時に、アメリカから帰国した彼女はプライドの高い自閉症だった。
簡単な言葉はあり、知的には中度で、自閉的な仕草やこだわりは少なめ。
しかし、性格的に勝気でプライドが高く、重度に近い扱いにくさがあった。
アメリカから帰国して、療育に来た彼女は
なんでこんなぼろいビルに来なくちゃならないの?と怒りの雰囲気。
お母さんから彼女を引き渡されても、教室に入ることが出来なかった。
私は彼女と手をつないでこばとの周辺一区画をぐるぐる歩き回って一日目の療育。
彼女はこばとの教室より立派なビルのに入って行こうとさえした。
彼女は絵がうまく、アンパンマン一族を紙一面に描くことがあった。
それを褒められると得意げな笑顔。
日本語は片言だが、英語の発音はネイティブでそれも褒めれれると嬉しそうだった。
しかし、自分の分からない課題やや難しそうな問題を目にすると、
とたんに顔つき、目つきが変わる。わかりやすい変貌。
そして自傷になりそうな瞬間に変わる。
そんな時は抱きしめて、耳の傍で50までゆっくり数えたり、深呼吸・深呼吸と囁いたり、ひたすら過呼吸にならないよう心臓を同調させた。
それでもダメな時があるのでリスパダールの頓服は携行していた。
こばとの療育では自転車に乗る練習もしていたので、もちろん彼女にも
自転車をいちから練習させた。
彼女は自転車には乗りたい。
しかし介助してもらうのは嫌だ。プライドが許さない、
しかし乗りたい。当然補助輪がないので、一人で自転車に乗ってもうまく走らない。
いらだち、怒って地面に寝転ぶこともあった。
介助はがんとして拒否。自転車に跨り、足で歩いてみたり。
プライドを捨て介助させてくれればすぐ乗れるようになるのに。
手を貸そうとすると怒るので着かず離れず、見守るしかなかった。
自転車練習の時間を何カ月もそうして過ごした。
しかし彼女は.ついにやりました。
自力で補助輪なし自転車に乗れたです。
介助なしで自転車に乗れた自閉症は彼女が初めて。
彼女はプライドが満たされる場面では花のような笑顔の少女。
しかしなぁ・・・ちょっとプライドを捨てて素直に介助されれば楽に生きれるのに。
今、彼女はプライドが傷つくことのない安定した施設ですごしています。