自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

睡眠障害

子どもが眠らないと親も眠れない。

 

 カフェに行ったら、カフェオーナーの知り合いの女性市議会議員さんに、

子どもの障がいを悩んでいるお母さん達の相談会のようなものを開きたいから

乗ってくれないか、と声をかけられた。

 

障がい児の親御さんにとっては幼児期は一番悩むときだ。

 

 肩書のない私でよければいつでも・・と答えておいた。

 

 

 

アトリエ・カフェのレンタル日のひと枠(水)をこばとで借りることにした。

 

 

伝手を頼って、こばとの事を聞いたらしい男性の声で(たぶんお父さん)

療育相談を受けたいと事務室に電話があった。

 

約束の日、道に迷ったと言って、中国人のお母さんが来た。

子どもも一緒に連れて来るように言ったのだが、お母さんが一人で来た。

 

子どもは保育園に預けている、と言った。

今、2才7か月。

数か月前から、フラッシュカードを使って障がい児の療育をしている所に通わせて

いるが、本当に効果があるのか悩んでいる。

公的な施設で診断してもらったが、発達に遅れがあるというだけで明瞭なこと、

育て方の特別なアドバイスは何もなかった。

 

1歳半から保育園に入れているので、薄々障害があることは感じていた。

しかし、2歳過ぎてから単語も出てきているし、

お母さんが言葉で指示したことは分かって従うので、成長してる。

 

しかし、保育園は厳しい。

迎えに行くたび、他児との違いや指示の通らなさを

保育士さんは不安の傷口に塩をすり込むようにはっきり指摘する。

 

心が折れるどころか砕かれてしまう、とお母さんは言った。

 

迎えに行くたび言われる言葉で、夜も眠れない。

言葉の残響、リフレーン。漢方の睡眠薬は飲んでいるが・・・

 

保育士さんの容赦ない指摘に加えて、子ども自身もなかなか眠ってくれない。

入眠までの時間が長い。

眠りが浅くて夜中、しばしば起こされる。

 

自分がどうにかなりそう。子どもの発達の遅れ以上に、

自分が眠れない事で気が変になりそうだと必死の表情で訴えてきた。

 

確かに、働いているお母さんは子どもの昼寝の時に自分の寝不足を補充できない。

 

子どもの睡眠障害は大人も巻き込む深刻な問題だ。

 

 

話は逸れるが、療育の面談であるお母さんが言っていた。

 

小学生になった自閉症長男が父親に懐かないので困っている。

だいぶ、いろいろなことが出来るようになった長男を

次男同様、父親は可愛がろうとするのに

長男は父親を避けている様にみえる。

お母さんが思い出して言うことには、自閉症長男は乳児期、夜泣きがひどかった。

父親も寝不足になり、イライラが募って長男にきつくあたったことがあった。

その時に、父親は怖い存在として自閉症長男の潜在意識に

刷り込まれたのかもしれない、言った。

 

下手をすれば、睡眠障害は虐待にだって繋がりかねない。

 

 

自閉症は神経栄養因子の障がいが一次的な原因と言われているそうだが

乳幼児期の症状は神経系の未熟のために、表出された症状は

発達障がいを特定できるほど、固有の症状としてはとらえにくい。

 

それでも、小児神経のお医者さんの話によれば、

1歳前後には確立する睡眠パターンができない、

睡眠リズムの障害は発達障がいに特異的に出てくる症状だという。

 

布団に入れてもなかなか寝付かない。

眠気が出るとかえってハイになり興奮状態(寝はしゃぎ)になる。

ようやく寝付いたと思ってもすぐ目を覚ます。

夜中起きて、パッチリ目を覚まして遊んでしまう。

 夜も昼も泣いてばかりで寝せるのに苦労する。

 

睡眠障害はなかなか眠らない子どもばかりではなく、

逆に、昼も夜も寝すぎるぐらいで、

まったくおとなしくて手間のかからない子どもにもリスクがあるという。

 

朝いつまでも寝ていたり、目を覚ましてもおとなしいと、

母親は家事仕事を優先させてしまう。

 

またまた話は逸れるが、こばとの療育全盛期の時、

子どもがおとなしいからと言って放置していてはいけなかった例があった。

 

小学校入学の一年前に家族でアメリカから帰国して、

すぐにこばとの療育をを受けに来た女児がいた。

多動、自閉性は少なかったが、言葉は少なく、蚊の鳴くような声だった。

課題をやらせようとすると、顔を背けるようにしたり、

口をへの字に曲げたり、舌うちさえした。

素直にやろうとせず、指先で鉛筆をくるくる回して時間稼ぎをした。

 

お母さんの話では女児は手のかからない、良く寝る子どもだった。

目を覚ましていても泣かずにおとなしかった。

 

女児が5年生になった時、お母さんに

「私、寂しかった。」と言った。

お母さんはびっくりして、「いつのこと?」と聞いたそうだ。

「赤ちゃんの時」

「赤ちゃんの時?」

「お母さんはいつも私をおいてでかけたでしょ!」と言われ、

お母さんは鳥肌がたったそうだ。

 たしかに、女児は良く寝て、泣かない子供であったので、

お母さんは寝かしつけて、近所によく出かけていたことをおもいだした。

 

赤ん坊も記憶し、潜在意識の奥に沈殿していて、

今なら言える時に出てくるのだ、と私も驚いた。

 

話を元に戻すと

前出の小児神経科の先生の話によれば、

睡眠障害アスペルガー症候群自閉症、ADED、強迫性障害の7~8割に

見られるという。

 

さて、睡眠障害に対する対処法だが

20周年記念文集に詳しい一文を寄せてくれたので参考し、書きたいのだが

長くなりすぎたので続きは次の記事で・・・ごめんなさい。

 

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相方スタッフ休み・つまんない