自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

トラウマ

 前に脳は不思議だと書いたことがあるけど、どうしてそうなる?と思うようなこと?も多いですね。

 人間って楽しかったことは次第にフェードアウトして、楽の記憶領域にスルっと収まってくれるけど、恐怖、嫌悪、怒り、後悔など負の感情はなかなかフェードアウトしてはくれず、繰り返し繰り返し浮上し、時にはさらに鮮明なったり、強化されたり、ちょっとしたきっかけでフラッシュバックするということもありますね。

 人間の脳の防衛本能として危険を素早く察知、回避するために、負の感情のほうを強くいつまでも忘れないようにプログラムされているのかなぁ。

 自閉症状のある子達は言葉での表現が稚拙なためか、その傾向はより強く、周りの者しつこいとか、執念深いなどと言われてしまうこともあるんです。

 昔、幼児教室にお稚児さんのようにかわいい男の子が通って来ていました。

その子がある時からあご叩きを始めたのでびっくりして、お母さんに原因を聞いた

のです。

 きっかけは男の子の虫歯が放置の限界を超えたので、近くの歯科医院に連れて行った。治療は大ごとで、ネット+看護師二人で押さえつけ何とか治療終了。

 家に帰ると男の子は寝転んで、わめきながらあごをこぶしで叩いた。それから、あご叩きが始まった。いやだった、怖かったと言葉では言えないので、その時の状態を行動で再現してみせた、ということがお母さんの話から推察できました。

 悲しいことにそのあご叩きは常態化して、いやな気持はすべてあご叩きで表現するようになったのです。一時は物理的に止めることも出来たけど、再発し年頃になって、自分であごは叩きたくないという気持ちになるまで自傷行為は続きました。

 

 脳の作り出したトラウマ=あご叩きのループ、自動反射を外すには心のトレーニングが不可欠なんだなぁ。我々も同じ。

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