前回,ファーストハグについて書きましたが、ハグという行為にはなんか、<言葉>ではできない効能がありますね。
世界中の人がハグを言葉の代わりに親愛・信頼の証として表現しているし。
療育中、自閉症児の困った他害行動の改善にハグが効を奏したケースがありました。
若いお母さんが連れて来たのは 幼稚園の年中組に通っている自閉症の男児。
発語はわずかでしたが、体格良く大きい子。
目線もよく合うし、人との関わりを嫌がる様子はなし。むしろ、人懐っこいタイプ。
彼には二つ違いの弟がいて、初回の面談時にはバギーに乗せられて一緒に来ました。
お母さんが一番困っていて、何とかしてほしいと訴えてきたのは自閉症の長男の他害行為でした。
始めはお母さんに対して叩くだけだったのが、今では誰彼なく叩く。それが結構の強さで痛い。
買い物でスーパーに行っても、すれ違ったお客さんを叩いてしまう。息子を叱りながらお客さんにも平謝り。どんなに怒ってもやめないし、買い物にも行かないわけにはいかない。ほとほと困り果てている。
療育を開始しました。
やっぱり彼はスタッフをも叩いてきました。
スタッフは療育の前に、叩いて来ても抱きしめることにしよう、と申し合わせていました。
彼の<叩く>という他害行為は、たぶん自分を見て欲しいのサインだろうから。弟も生まれていることだし・・・
そして、彼は怒り顔の反応を期待しているだろうから、逆にそこはスルーしよう。
叩いてきたら、君のことも見ているよ、というように笑顔で抱きしめよう。
叩いてくるたび抱きしめて、違うことに気を向けさせました。
そうこうして1か月たったころには彼の叩きは消えていました。
ハグは効果大ですね。