自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

虐待

  前回まで自閉っ子のだすサインを読み取ろう、とか書いてきましたがそんな余裕を持てない時も多々ありますねぇ。

 

 彼らの出すサインは時に半端ないものもあるので、持ち堪えるので精いっぱいの時もあります

 

 泣き叫びのパニック、突然のフラッシュバック、長泣き、頭突きなど、周りの者の神経に触ってサインを読み取るどころではないことも。

 

 それに、前後の様子を知らない、その場面を見ただけの人にはまるで虐待しているのでは、という印象や誤解を与えるこさえあるでしょう。人目や世間体が気になってやつい子どものいいなり、気に入ることをしたくなります。

 

 そういえば療育の場面でもありました。

 

 20数名の就学前幼児を保護者同伴なしで、10名のスタッフが一泊二日の合宿に連れて行った時のことです。

 

 集合後、見送りの保護者と別れ、最寄り駅に向かいました。

一人の年長男児は初めての夏合宿でお母さんと離れられなかったので、お母さんが駅の改札まで同行しました。

 

 しかし改札で別れた途端、泣き叫びが駅の構内に響き渡りました。がお母さんは敢然と背中を見せて離れたので、私ともう一人の療育スタッフが彼の両脇を抱えて電車に乗りました。次の駅で降りて、別の電車に乗り換えるためホームの階段を上り下り。

 

その間も彼は泣き叫びは続き、笑顔で声かけしながら彼の両脇を支えている大人は汗びっしょり。

 

 乗り換えの電車を待つ間彼は寝転んでまだ泣いていました。その時駅員さん駆けつけてきて言いました。「虐待はしないでください!」

 

 でも汗だくで顔は笑っている引率者を見て、事情を察し黙って去っていきました。

その男児は目的の駅に着くころには次第に静まり、自ら集団の一員と化しました。

 

 そして一泊二日の森の中の合宿笑顔でこなしました。夜もぐっすり。アスレチック、森の探検も積極的、帰りの電車のなかでは借り物の猫のように静かでした。

 

 我々の療育を信じて預けてくれたお母さんがえらかったですね。

療育はあきらめない信念と、誤解を恐れない勇気も必要なんです。

 

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