自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

ごまかし

  自閉症児は成長につれて我慢が育ち、少し感情コントロール出来るようになると、前回の<反転する気持ちの表現>にも書いたように、泣き騒ぎのようなストレートな表現は影をひそめますが・・・。

 

 彼らのやりたくない気持ちの表現はちょっと手の込んだものになっていくこともあります。

 

 たとえば、学習などやりたくない時、急に目がかゆくなって赤くなるほど目をこすり始めます。また鼻くそが気になり、鼻くそほじりを始めたりします。堂々と目の前で。

 それをいつまでもやっているものだから療育者も叱るわけにいかず、「目がかゆくなったの?」、「ほじくると鼻血がでるよ!」とテッシュを取ってやったりして、やるべき学習から逸れていき、彼らの思うツボにはまります。

 

 急にに欠伸をし始め 眠そうにすることもあります。

かっての学習指導の療育中にもありましたね。

小学一年の多動で自閉症状が少々重めの女の子。

着席は続くようになったのですが、「数字を書く練習をしようね。」とプリントを出して鉛筆を持たせると、急に眠そうな顔であくびを連発。

そして机に突っ伏して本当に眠ってしまったのです。

 

 さしずめ、敵を目の前にして、たぬき寝入り、死んだふりと言う所でしょうか。

 療育スタッフもあきれてしまいましたが、眠気対策がひらめきプリントを片付けて言いました。「お外に行って縄跳びと自転車の練習をしようか?」すると、ぱっと目を開け椅子から立ち上がったんです。

 

 当時、90分の療育プログラムの中に縄跳びと自転車の練習がありました。

 

 小手先のごまかしが通用しない時は耳をふさいだり、目をつぶって見ない、見えないふりもします。外界を遮断して必死に自己防衛しているつもりなんだろうなぁ。

 

 自閉症は我慢の沸騰点がかなり低い!ということもあるけど、やはりかなり生き辛い症状をいっぱい抱えているんだねぇ。

 

自閉症の世界