自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

胎内回帰願望

  前回、外界の刺激を遮断して自己防衛のような態度。

耳ふさぎ、目つぶり、体を丸めて寝ころぶ、狭い隅っこのような場所に入りたがる、

などの自閉の症状について書きましたが、

 

 しかし、こういう態度は何も自閉症児の専売特許ではなく、不安や恐怖を感じた時人間、誰しもやることですよね・・・・。

 

 自閉症児にとって、この胎外の世界は不安に満ち溢れ過ぎている。

言葉が分からない、見ているもが何なのか分からない、じっと見つめられることが怖い、置かれた場所が分からない(咲くわけないです。)

 

 幼児期が一番親子共々つらい時期ですね。自閉症の子どもにとっては胎内が一番安心安全の場所なのだから。

 

そう思わせられることがたびたびありました。

  

 3歳からこばとの療育の幼児教室に通っていた、言葉のない自閉症状重めの女の子。

 彼女は教室の玄関前に置いてあった大きな水瓶を覗き込むのが大好きだった。

 水中で泳いでいたメダカを見ている様子はなく、どうも水瓶の中に移っている自分の顔を見ている様子。

 「羊水の中にでもいるつもりなのかしらね、声をかけても遠くのように目をやる感じだし、羊水の中で聞こえている程度の音なのかな?」と、お母さんと話したくらいです。

 そういえば便器に座らせようとすると、ひどく怖がって便座に仁王立ちになっていたのも、便器の穴に流れ込む水に恐怖を抱いたからかも。

 

 あるお母さんから小学4年の息子の<マイブーム>の話を聞きました。

息子は発語はあるものの自閉症状、少々重め、こだわり多し。

  

 彼は電気をつけていない居間のソファで、お気に入りの毛布にすっぽりと、顔も出さずにくるまって長いことじっと座っているのが今ブームなんです。しかもテレビをつけ、わざと選局しないでザーザーという音をたれ流して・・

 

 私は驚いてお母さんに言いました。「それって、胎内と同じじゃない?」

 

彼は究極の自己防衛策を考案したんだねぇ。

  

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