自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

嫉妬

  自閉症の症状の一つとして<他人の感情が読みにくい>、ということはよく言われることではあります。

 

 確かに自己中が全面に出すぎるので、自分の要求は激しくアピールします。

 

 一方、男子用のトイレでお尻を出して用を足したり、人前で鼻くそをほじくって、さらにその鼻くそを食べたりして顰蹙をかっても気にしません。

 

 人に共感したり、恥ずかしいという感情も自然とは芽生えにくいので、社会的スキルと共に学習的に教え込んでいく必要性はありますね。

 

 しかし、だからと言って諸々の感情がない、と思うのは偏見です。

「嫉妬やプライドだってありますよ、」と、言うと「えーっ!そうですかぁ?」と親御さんでさえ疑わしい声を出します。

 子どもは自分の要求の時しか感情をみせないと思っているので、無意識にバイアスがかかってしまうのでしょう。

 

かって、2人の息子を持つお母さんからこんな相談を受けました。

 

 兄は発語はあるものの要求語がほとんど、会話は不成立。

弟は一つ違いでいたって普通、健常児でした。なのでお母さんと弟は日常楽しく会話し、その間兄は割り込むこともなく無関心。弟は優しく、よくできた子だったので兄弟間で問題はなかった。

 

 しかし、兄が3年生になった頃、お母さんのいない所で弟をつねったり、蹴っていじめるので悩んでいる、との話。

 

私は言いました。

「お母さん、そりゃあ嫉妬ですよ。お母さんと弟ばかりが楽しそうに会話を弾ませているのを無関心そうに聞いていても、心の中はやきもちで焦げそうなんじゃないですか?

 たとえ返事がまともに返ってこなくとも、弟さんと話をしている時はお兄ちゃんにも話を振ってやったらどうですか?今日、学校でなにやったの?とか・・。」

 

プライドだってあります。

 中学生の女子。言葉はほとんどなく、自閉の症状は重め。ある日、妹から上から目線で指図された時、噛みついたというのです。

 あんたに指図はされたくないよ!!という気持ちの代わりだったかも。

 

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