自閉症は
自己中、要求は半端ない、空気を読まず場に合わないことでも平気でする。
相手、他人の気持ちを読まない・・・・
などマイナスイメージ、ネガティブイメージを持たれがちですが、彼らの内面は繊細、敏感という側面もあるのです。
私も心底驚き、言葉を失った出来事がありました。
療育を初めて5,6年もたたない頃、公的機関で知的障害、自閉傾向などと診断された多くの幼児が、我がこばとの療育を希望してくるようになりました。その当時は公的機関では育て方まで細かくフォローしていなかったので。
若いお母さん方も多くいました。
金髪に近いほど髪を染めた若いお母さんが、自閉傾向と診断された長男を連れてこばとに来ました。
保育園の年長さん。言葉はありませんでしたが、対人関係や指示の理解は良好で、下に弟がいましたが、その接し方も悪くありませんでした。
お母さんは子供の障がいも気にはなるが、夫婦仲も悪くケンカが絶えなくて、子供に十分気を使ってやれない、とも言っていました。
長男の自閉の症状はあまり強くなく、面接の翌週から療育を始めました。
3回目の療育の時だったか、お母さんは連絡帳にではなく、私と会うなり深刻な顔で話しかけてきました。
夜、夫婦喧嘩が始まり、エスカレートして大ゲンカになってしまった。
気が付くと長男がいなくなっていた。あちこち探しまわったが見つからない。
駅の近くに住んでいたので、すがる思いで駅近の交番に行った。
子どもは交番にいた。
おまわりさんの言うことには、子供がひとりで交番に来た、という話だった。
お母さんはほっとして子供を引き取ったが、喜びより"一人で来た”という話につなぐ言葉が出なかったそうだ。
私もその話を聞いて、唖然としてしばらく言葉が出ませんでした。
子どもは交番がある場所を知っていて、そこが何をする所(人を助けてくれる所)かも知っていた。
両親の大ゲンカを止めてくれるよう助けを求めにいった、のではなかろうか?
話を聞いた私は、「まさか、というより有り得るね。」という感想をお母さんと共有しました。
若い夫婦はその後離婚し、療育にも来なくなりました。
彼はどうなったかなぁ、もう30代のはず、障害があってもきっと母親の支えなっているだろう、と想像している。