自閉症は他人にどう見られているか、
気がつかない、気にならない、気にしない症状、特性を持つので、
平気で人前で鼻くそをほじくったり、それを口に入れる。
傷口に出来た瘡蓋をはがし、食べようとすることもやってしまいます。
きれいと汚いの区別も定かでないので、汚れた指をしゃぶったり、食べものではない物、輪ゴムや紙や紐をくちゃくちゃ口の中で噛んでいる子にもしばしば出会います。
しかし、心の汚れにも鈍感かなというと、そうではない感じもします。
私が個人で療育センターを立ち上げる前、補助教員・講師として支援学級(昔は特殊学級)の担任をやったことがありました。
引き継いだ児童数は7人。
その中に重度の自閉症男子(ともに2年生)がいました。
1名は裸足でどこへでも行ってしまい目の離せない、目元パッチリも美形男子。
もう一名はその場にしゃがんであまり動かない色白の面長男子。
学習を授業にきっちり取り入れて、休み時間も児童からは目を離さず進めていくうち美形男子の多動はは収まり、着席は続くようになりました。
しかし、認知の伸びは遅々たるもので知的障害は大。
一方、色白男子の方はカレンダー少年ということが判明。
学習の吸収スピードも速く、行動面でも活発になっていきました。
学級もだいぶ落ち着き、少し離れて見守っていても大丈夫になった頃の業間休み。
2人の姿が見えなくなったので、大急ぎで校庭の周辺を走って探し回りました。
教職員用の駐車場にふたりはいました。
美形男子が1台の車のボンネットに乗っていました。
「何やってるの!」私は声を荒げて駆け寄りました。
おかしい。美形男子が自分からボンネットにのぼるはずがない。
そこで、傍にいた色白男子に向かって、
「君が登れと言ったんでしょう!!」と問い詰めました。
彼は違うと言いながら、顔は見る見るうちに真っ赤になりました。
色白なのでなおさら・・・
悪事がばれた!という表情そのものでした。
学級での勉強が進むにつれて、色白男児は美形男児より自分の方ができる、優位だとわかってきた。
美形男児は自分より下。自分で判断できず、言われたことに黙って従うことに気が付いてしまった。面白い。優越感を感じる。
誰もいない所で悪さをやってみようとした、それがばれた。
私は赤面したことに驚きました。
人にばれたことで赤面するのとは別物なんだなぁ。
自分一人だけのことは平気だけど、他人が絡むときは結構動揺するんだ。