自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

脱偏見・脱差別


 偏見、差別は生理的な感覚に起因する、

アレルギー同様 脱感作療法が必要だ。

 

 

パソコン教室も支援学校高等部に通っている高校生たちが、続々卒業。

だいぶ生徒が減ってきたので、年も年だし、大殺界でもあるし

療育と同様、今年は募集することなく、縮小路線で行こうと考えていたのに

過去記事で載せた家族が突然、アポなし訪問。

 

 

kobatokoba-kosodate.hatenablog.com

 

両親、長男、3男の4人で、

表向きは長男の悩みを聞いて欲しいということだった。

長男は親にはどうしても話さないというので。

 

ついでに、3男の事も相談したかったようだ。

 

前回の訪問で話してから、3男の好きな事をさせようといろいろ探してみたが

これぞと思うものがなく、今一歩踏み出せない。

 

なにせ、末っ子で甘やかしすぎて、4年生なのに1人で電車に乗せたこともない。

本人も公共乗り物に1人で乗るのをいやがる、怖がる。

 

長男は幼児期からこばとに通っていたので、

4年生の時には1人で電車に乗って、こばとに通ってきていたのだが。

 

両親は1人歩きの練習のために、

まずこばとのパソコン教室に通わせたい、というのだ。

こばとなら安心だし・・・・。

 聞けば集中力のなさから4年で覚えるはずのローマ字も覚えきっていないという。

 

それで、パソコン教室に通うことにした。

土曜日、お父さんの見張りのもと徐々に一人歩きの距離を伸ばしていく計画。

1回目電車に乗って、駅からはお父さんの上着の裾をにぎって緊張して来た。

何度もこばとに来たことはあっても、いつも車だった。

 

今は駅のホームで待ち合わせるところまで進んだ。

 

パソコンは嫌がることはなかったが、集中が短い、余計なしゃべりが入る。

だが、6回目にしてローマ字はほぼマスターしキーボードの位置もだいぶ覚え

タイピングも速くなった。

1回1回進歩している。

集中力も続くようになった。

始めたばかりの頃は他のパソコン生徒とかち合わないよう、

1対1でレッスンしてきた。

 

が、コロナ休校のため、どうしても他の生徒と被ることになった。

被ることになった相手は、幼児期からこばとに通って来ている

支援学校高等部の重度自閉症男子。

作業能力は抜群で学校からも当てにされているほど。

視覚的記憶力が良く、パソコンで一度教えたことはすぐに覚える、。

ワードの使い方はだいぶ覚え、自分で予定表を作っているほど。

 

しかし、言葉はあまりなく、イケメンでもない。

自閉っぽい身のこなし、バリバリ自閉感はある。

唸り声ふうの声だしもある。

 

 

長年、付き合いのある私や相方スタッフは

言葉がなくとも唸り声を出しても、彼と普通に喋るが、

知らない人はちょっとどう対応してよいやら、戸惑うだろうタイプだ。

 

小学4年のADHD系男子は、

予定時間より早く入室してパソコンを始めていたが、

普通学級としか接点のない彼は、重度自閉症の高校男児が入ってきた時、

明らかに嫌な顔をし、じゃべりが出ないと分かると明らかに侮蔑の表情をした。

 

私は

「〇〇君はあまりしゃべれないけど、パソコンはすごいのよ。

君より遥かにうまいのよ。」

ふたりを当たり前に紹介し、お互いに挨拶させた。

小4男児の馬鹿にしたような目つきは変わらなかった。

 

支援高校男子がパソコンを始めると、その腕前がわかったのか

張り合うように、真面目にパソコンに取り組み始め、

今までで一番集中し、こなした量も多く、ミスなくやれた。

彼の方が早く終わったので、帰る時は高校男子に「お先に!」と挨拶させた。

4年男子の発声はもごもごしていたが、見下し目線はなかった。

 

玄関を出て父親に、駅のホームで待ち合わせる電話していた。

 

4年男児こばとに来た時は、言葉のない発達障がい児だったのだが、

ずっと普通学級にいて、重度の自閉症児者を見たことがないと

世間一般の人達と同じような反応をするのだ。

 

小4男子が帰った後、(その日は3人が1時間ずつ被った)

私立の普通高校に通っている男子がパソコンを習いに来た。

 

彼は重度自閉症男子の行動に嫌悪を見せることはない。

障がいはなく、知的発達のために幼児期からこばとに通って来ていて、

重度自閉症を見慣れているので自然に接する。

 

軽度自閉症の支援高校女子とパソコンのレッスン時間が重なることもあるが

興味がない話でも自閉女子がふってくる話に合わせてくれる。

女子がいつも持参するおやつを「あげる!」と渡してくれる時は

普通に、「ありがとう!」といって受け取る。

女子は帰り際に、「お菓子をもらってくれてありがとう。」などと言っていた。

 

重度自閉症と早くからふれ合う機会があれば、

偏見持ったり、蔑視することもないだろう。

大人がよいお手本をみせれば、(子供の本心は分からないが・・・)

 

 

自閉症のこだわりや、共感しにくい、理解しがたい行動に慣れろというのでない。

自閉症の側も普通の環境で、当たり前のことを当たり前に出来ていく努力も必要だ。

周囲に脅威を与えるような、行動や大声などはふさわしくない。

療育は不可欠だ。 

 

こばとでは当たり前のことを当たり前に!を目標に掲げて夏合宿をやってきた。

 

はじめから保護者の付き添いなし、子どもとスタッフだけで、

軽度の子も重度の子も一緒に

公共の乗り物を使って

他の団体とも顔を合わせる、ユースホステルや、少年自然の家に泊まって

自転車に乗れるようにして、サイクリングもやって

世間の人の目に触れるようにして

 

偏見や差別をしないように要求するだけでなく

自らも世間の脱感作の作用を促すべく

社会に、世間に出て行かなければ、

 

夏合宿にはそういう思いがあった。

 

しかし、学校現場ではまだまだなのかなぁ。

そして、インクルージョン教育だからといって

自閉症児をぽんと普通学級の中に入れればいいというものではない。

昔、形だけの大人の平等意識で

子どもにとって必要な教育・療育が抜けてしまったことがあった。

 

 

詳しい話は次回に回そう。

 

 

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うろつきの春