自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

思春期暴風対策

忙しすぎて記事をあげるのに何週間もかかってしまった・・

3年との9条図書の出荷準備が始まったし、

定期に療育している子の他に、何故か療育相談が続けてはいったり・・・

GO TO トラベルなんかとても、とても手が届かない。

 

 

さてと、

思春期対策は幼児期から始まる。

 

自閉症児のお母さん方の中には、

先輩ママや、学校ママ友から自閉症児の思春期ついて聞かされ

我が子も思春期にはその暴風雨圏に入るのか!と思いめぐらし 

戦々恐々、暗澹たる思いに先走ったりする方もいる。

 

定型発達の子どもだって、

どこのお家でも、思春期の反抗には手を焼くことだろう。

しかし、言葉のコミュニケーションが可能な定型の場合は

友だちと話たり、本や体験で精神面が成長し

思春期の嵐は自らの力と時間でぬけだせるだろう。

 

しかし言葉の発達が遅れている、発語がない自閉症児の場合、

精神面の発達の遅れにもつながってしまうでーすが大半だ。

自らの体型が大人同然になっていることを理解せず、

幼児期精神年齢で反抗行為をやってしまうと

暴言(大声)、暴力、破壊は小さい時とはスケールが違ってくる。

 

幼少期は大人しい、指示によく従う(言いなりなる)自閉症児も

いつまでもそのままではない。

年頃になると反抗的、暴力的になって親を驚かせる

あんなにいい子だったのに・・・・

 

 

精神年齢の発達が緩慢、遅れ気味の彼らは幼児期に出るはずだった

反抗、口応え、自己主張が思春期にずれ込んで出てくる。

精神年齢は幼いままだが、体格・力はもう大人。

反抗理由も幼児期のような単純なものではなくなってくる。

 

言い方が気に入らない。

馬鹿にされた、いちいち指図するな。

さすがに余所では我慢できるようになったが、

家に帰ってうさばらし、あたりちらす。家族には訳が分からない。

 

 

親も抑えきれずに防御、退避ということにならざるを得ない。

強度行動障害と言われかねない行為

手加減しない破壊行動はどこにそんな力があるの?

思わせるほど、重く大きいものでも動かしたり、持ち上げてしまう。

火事場の馬鹿力というやつだ。

 

 

昔、ある市のセンターの体育館で催された

自閉症向けのイベントに参加見学していた時、

思春期の自閉症男子が何か気に入らないことがあったようで、

防火扉のドアに向かって走っていった。

 

体育館の防火扉は非常に重く、

大の大人でもやっと開けるほどの扉であったが

その自閉症男子は走って扉に取りつくと、あっという間に開けて出て行ってしまった。

数人の大人が追いかけた。

重い扉を一瞬で開けるすごい力。

 

 

箪笥を倒した、壁に穴をあけた、

物を投げて室内は悲惨な状況!!! 

だからお母さん方の中にはそんな話を聞いて、

いつか我が子もそうなるのではないか、と身構えてしまうのだ。

 

 

 

本人は自己抑制力、精神年齢は幼児期のまま

周りの家族も幼児期の対応をひきずって

一人前の人間、大人としての扱い、役割分担をしてこないまま

思春期を迎えてしまうと

体は大人、精神は幼児ということが起こり得る。

 

療育中もお母さんから思春期の不安を聞かされた私は

 

「幼児期からしっかり療育していけば乗り越えられます。

年頃なりの反抗は多少出るかもしれないけれど

出来ないことが多いからと言って、幼児期の対応の仕方を

ずっと引きずらず、年齢ごとにそれ相応の対応に変え、

家族の一員としての役割、責任をもたせていくことです。」

 

と答えることにしていた。

 

自分と背丈が同じぐらいになっているのに、

幼児期と同じような口調で注意や指図をしてしまう親御さんを見かける。

そんなこと言わなくてもいいのに。

学校で注意されて内心落ち込んでいる子供に、ダメ出しの注意をしたりする。

 

分かってるよ!うるさいなッ!と子どもが言えればいいのだが

言葉をうまく言えない彼らは、

もやもやと負のエネルギーを爆発させてしまう。

 

幼児期から丁寧に療育し、

彼らを一人前の人間として尊重できるよう

育て上げることが、一番の

思春期暴風対策になると信じている。

 

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待ってました!ストーブ