自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

マスター

支援学校が変わる予感

 

 

kobatokoba-kosodate.hatenablog.com

 

過去記事にも登場させた重度自閉症男子、支援学校高等部2年。

こばとのパソコン教室に通っている。

もちろん、ローマ字打ち。

 パソコンのワードを使いこなしている。

 

こうなるまでには、どれほど困難な道のりを

親子共々、歩んできたことだろう!!!

 

 

両親は息子の可能性を信じて15年もこばとに通わせ続けている。

共働きの両親の愛情と根気・努力・忍耐には

本当に、心底頭が下がる。

 

両親とも病気になったこともあった。

入院したこともあった。

それでも、ずっとこばとには関わり続けている。

中学生になってからは

療育打ち切り後に立ち上げたパソコン教室に通わせている。

 

 

 

息子は言葉の出ない重度の自閉症のため

小学校の支援級ではコミュニケーションが取れず、

辛い思いもしたが、学習はちゃんとやった。

当たり前のことを当たり前に、特別扱いされず

普通に生活することを鍛えられもした。

 

せっかく鍛えられて、支援学校の中等部に進学したのだが

作業能力、学習能力はあるのに

言葉の出る軽度の発達障がい児よりはるかに

低くみられることが多く、学習もなくなった。

小学校の支援級での積み重ねが生かされなくて、と

 お母さんは残念がっていた。

 

支援学校の担任は、彼が重度自閉症にもかかわらず

出来ることが多いので、アンバランスなタイプと括ってしまうだけで、

能力を伸ばそう、という授業にはつながらなかった。

 アンバランスは努力、積み重ねの結果であるのに・・・

 

唯一、実習で行った職場の担当主任が

彼の能力を高く評価してくれたそうだ。

こうまでなるのに余程努力があったんだろうと、推察してくれたとか。

 

 

お母さんはパソコン教室の連絡帳に、度々

小さい几帳面な字で、綿々と

支援学校の旧態依然とした教育の嘆きを書いてよこした。

 

 

新型コロナ禍の休校中も支援学校からは

宿題も出ず、先生からは家でどのような過ごし方をしているか?という

能天気な問い合わせがあったのみ、とお母さんはカンカン!!!。

 

 

重度障がい児だからと言って家庭学習はなし???

お母さんは自分が工夫した家庭学習の内容を

皮肉をこめて精一杯書いて返したが、

学校からは反応はなかったそうだ。

 

 

 

しかし、自粛休校後本格的に学校生活が再開し

ここにきて授業内容が変わって来たらしい。

 

 

お母さんの連絡帳には

パソコンの授業が始まった、と書いてあった。

 

初めてのパソコンの授業ででカレンダーを作ったが

他の生徒が手こずっている間に

自閉症息子はサクサクと12カ月分を作り上げた。

しかも適切なイラストを入れ、レイアウトもばっちり。

(彼はインターネットで画像を探すことなど、お手の物だ。)

先生に驚かれた、と文面には喜びが溢れていた。

 

 

その連絡帳を持ってパソコン教室に来た日

彼が「マスター、マスター」と何度も言ってくるので、

「何のことだろう??」と相方スタッフと首をかしげたが、

お母さんの連絡帳を読んで納得!

 

彼はパソコンの授業で、指導の先生や周りのクラスメイトに

 

「S君はパソコンは既にマスターしてるんだ!!!」

「パソコンマスターだ!!!」とでも

 驚嘆され、称賛されたに違いない。

 

ほとんど言葉のない重度自閉症の彼が!?

しかも、ローマ字打ち!!!

信じられなーい!!!

 

 

彼は称賛のマスターという言葉を誇らしく聞き、そしてしっかり覚え

こばとのパソコン教室のスタッフに伝えたかったに違いない。

 

 

これで支援学校は重度自閉症児の能力を見直し

彼らの持てる能力をいろいろ引き出してくれる

授業内容に変化するに違いない。

そうなれば私も嬉しい。

彼にパソコンを教えた甲斐があるというもの。

 

 

 

コーヒー好きの彼、

パソコン教室に来るたび、私の顔を見ると、

「コーヒー下さい!」と言う。

私は「休憩時間の時にね。」と答え

「コーヒーは2杯までよ。」と付け加える。

 

彼が来る日だけ、コーヒーを用意している。

彼のパソコン教室に来る楽しみの一つのために

私もパターンを変えられない。

 

 

 

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冬眠します!!!