自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

カレンダー少年

  自閉症が自分のメリットに合致した時だけ発揮する、尋常ではない 能力。

他にもありますね、数字にやたら強いとか。

 

 映画「レインマン」や小説「ミレニアム」にも出てくるので、自閉症は数字に強いというイメージを持たれるかもしれないが、それはごく一部。

 

とはいえ、自閉症の特質の一つには違いないですね。

こばとで500人以上療育しましたが、カレンダー少年・少女は何人もいました。

 

(しかし、数字に強いことは何のメリットに合致するんだろう? 記憶と結びつけ易いということかな?と勝手に解釈。)

 

 彼らが「先生の誕生日は何日?」などと聞いてきたら、まともに答えないようにしていました。

適当にごまかして。

 

 うっかり教えようものなら、ばっちりインプットされて後々、ことあるごとに開示されてしまうからです。

 

 数字に強い自閉症男子。

 彼は幼児からこばとの療育に通い、中学の特学(現在の支援級)と養護学校高等部(現在の支援高校)の時は社会トレーニングに参加しました。

 イントネーションはちょっと変でしたが言葉はあり。

 

 しかし自閉症状が強く、次から次とこだわりが出て、お母さんはいつも悩みを抱え、トラブル発生するたび、電話をかけてきました。

 

 その一つ。

 ひとりで通学できるようになったは良かったのだが、数字の強さがあだになった。

 

 彼は通学の登下校中、看板などに書いてある電話番号を覚え、家に帰ってからその電話番号に電話をかけるという。

 

かけて相手が出ると何も言わないでガチャンと切ってしまう。

 

彼は電話がつながったことを単純に喜んでいる。

 

お母さんは慌てて「間違いました!!.」と謝ったり、電話を掛けさせないようにするのに疲れてしまう、と嘆いていました。

 

そうこうしているうちに電話番号のブームは去りました。

 

今、30代の彼は数字の強さを生かした適職(テーマパークのコスチュームのサイズの仕分け)についています。

ベテランなので定年までいてくれと言われているとか。

 

趣味が同じ鉄ちゃん系のガールフレンドもいるそうな。

 

彼は今も自分の予定や気になる過去について確認したい時、メールをこばとのパソコンに送ってる。

 

それはいいのだが、平成元年に開始したこばとの療育の場所や、自分と同じ頃に通っていた子の名前を聞いてくる。

知っているくせに。

 

自分の就労年数祝や誕生日、両親の誕生祝の予定もメールしてくる。サンタさんは何歳まで来るのか気にしていた。30歳をすぎて踏ん切りがついたようだ。

 

私はいつもお仕事頑張ってね、と返信メールしている。

 

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