自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

クリスマスはホーリーナイト

★★★★キャンドルサービスの夜★★★★

 

こばとの療育には幼児期から通い始めて

中学生になっても・・・10年以上も

通い続ける障がい児が多くいた。

 

 現在のようなデイサービスなどない時代だったから

中学生になると社会での生活能力を身につけさせるために、

毎週の学習や作業指導の他に

社会トレーニンという活動を毎月1回

日曜日にやっていた。

 

 10数人ずつの2グループに分けて

活動内容は同じだが、別々の日曜日にやっていた。

 

自主的・自発的な活動を促す障害が軽度のグループと

介助、声掛けを減らして行動させる障がいが重度のグループにわけて、

公共の乗り物を使っていろいろ場所に連れて行った。

 

 

付き添いは、その月の担当になったスタッフ2名と私の3人。

私は各活動に毎回付き添うので日曜日の休みはなく

ほぼ年中無休状態だった・・・・。

 

 

2つのグループが一緒に活動する月が年に1回だけあった。

それは12月!

クリスマス直前の日曜日の社会トレーニング。

活動はなんとクリスマスミサの参加!。

各家庭には宗教は一応活動には無関係です!とお便りしておいた。

 

こばとの近く、西千葉駅徒歩1分の所に

大きなプロテスタントの教会がある。

 

 

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教会

 

 

そこで夜の7時から行われるキャンドルサービスのクリスマスミサに

社会トレーニングの中学生20数名が一緒に参加したのです。

 

 

障がいがあっても中学生たちには

クリスマスはケーキを食べて、

サンタクロースからプレゼントをもらう日、と思い込んでほしくなかった。

クリスマスが何の日であるか、触りの部分だけでも知って欲しかった。

 

障がい児の集団だが、ミサに参加させてもらえるかどうか、

教会に相談に行った。

 

 クリスマス当日のミサは混雑するので

その前の日曜日に行われる若者向けの

夜のキャンドルサービスのミサではどうか、と言われた。

私は有難く、その場で飛びついた。

 

教会の方は不安など口にせず、終始笑顔だった。

 

 

私は活動計画をたてた時は内心、不安はあった。

静寂のミサの最中に独り言を言ったりはしないだろうか?・

大声を出したりはしないだろうか?

きょろきょろしたり、もぞもぞ動いたりはしないだろうか?

 

 

心配は無用だった。

 

 キャンドルサービスの当日の夕方、

 こばとに社会トレーニングの2グループ、20数名が集合した。

 

夜のミサということで、

まずは腹ごしらえに西千葉駅中に夕飯を食べに行った。

ロッテリアと花丸うどんのどちらかを選ばせた。

社会トレーニングにの度に飲食店は自力で利用出来るようにして来たので

皆、慣れたもの。

 

食べ終わってからまたこばとに集合し、

あらかじめリサーチしていたミサで歌う讃美歌を練習した。

皆、歌詞カードを見ながらまじめな顔で歌っていた。

 

準備OK。

こばとから徒歩2分の教会に向かった。

 

全員ワクワクと緊張感の溢れる顔をしていた。

教会の入り口で参加者簿に自分の名前を記入。

自分の名前をいびつながら漢字で書くのをみて、私は誇らしかった

 

火の付いていないキャンドルを受け取り、薄暗い会場に入った。

オルガンの近くに2列、予約席が用意されてあった。

 

 

ミサ開始。

オルガンが鳴り響き、室内は真っ暗になった。

 

司会者の挨拶があり、初めのキャンドルに火が灯され、

席の先頭の方からが順繰りにキャンドルに点火される。

火のついた方のキャンドルを傾けないよう、

間間に座っているスタッフが横目で見張る。

 

 

参加者全員のキャンドルの火が灯された後、起立して賛美歌を歌った。

 

こばとの中学生達も周りに合わせて起立し、賛美歌を歌った。

大声でもなく、口パクらしくもあったが、皆、真面目な顔だった。

 

それから牧師様のお話があった。

カソリックの教会ではないので、神父様ではなく、牧師様。

 

薄暗さと静寂

中学生達はミサの雰囲気に調和していた。

 

牧師様のお話の後も何回か起立して賛美歌を歌い、また着席した。

 

献金が回ってきた時、中学生達はこばとの教室で

あらかじめ袋に入れて用意しておいた500円を献金した。

 

最後の挨拶があり、再び電気がついてミサは終わりとなった。

 

教会の人が寄って来て、お菓子が入った袋をプレゼントしてくれた。

参加したことを喜んでくれていた。

 

 

教会を出て、歩いて1分の解散場所、西千葉駅の改札口に向かった。

迎えに来てくれた親もいたが、

大半は電車で帰り、降りた駅に親が迎えに来ているはずだった。

 

 

教会の夜のキャンドルサービスのミサは

中学生達に 静謐で平安の印象を残したようだった。

気に入ったと言っていた。

  

kobatokoba-kosodate.hatenablog.com

 

 

私は高齢になり、療育を縮小し、

社会トレーニングも終わりにした。

 

終わりにする前の6年間、12月の社会トレーニングは

教会のキャンドルサービスのミサに参加するという活動だった。

 

重度から軽度までの発達障がいの中学生達

あの薄暗い厳かな静寂の雰囲気をなぜか気に入った。

活動を企画してよかった。

 

 

障がいのあるなしに関わらず同じ空間、雰囲気を味わ得る。

私にとってはクリスマスプレゼントだった。

 

なつかしいなぁ~、いい思い出!

今はぼっちクリ・・・・・だけど。

 

 

 

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プレゼントはなに?