自閉症の世界

~自閉症の世界を知って、障がい児の子育てに役立てよう~

実習

社会への入り口、それは実習

 

この時期、支援学校の中学部2、3年や高等部の生徒たちは

学校卒業後の進路や、就労に向けての実習あって、

環境変化への緊張、ストレスの日々を送っていることだろうな。

 

こばとのパソコン教室に通って来ている支援学校生徒の

お母さんの連絡帳にも実習の報告と感想が。

私も連絡帳を読むのが楽しみだ。

 

支援学校高等部3年のイケメン重度自閉症の彼<過去記事、洗濯奉行>も実習した。

高等部1年の時から卒業後を見越して、学校と相談しながら

何か所かで実習体験してきた。

 

その中で2か所の事業所を彼が気に入り、再度実習したそうだ。

1か所は受け入れ地域以外からは採用しないと言っていたらしい。

 

ところ2か所から、ぜひ来てほしいと言われとのこと。彼の人柄を気に入って。

 

お母さんの連絡帳にはうれしい悩みだと書いてあった。

ここに至るまでの自閉症育てな並大抵の努力ではなかったが、

彼は、お母さんに似ては明るい性格だ。

 

kobatokoba-kosodate.hatenablog.com

 

 

 

過去記事で紹介した、支援学校高等部一年のK君も初めての実習に行った。

 

 

kobatokoba-kosodate.hatenablog.com

 

お母さんの連絡帳によると

彼にとってハードルの高いB型就労事業所。

仕事が厳しいことで有名。

 

両親は彼がどの位耐えられるか、敢えて行かせたそうだ。

 

実習前、保護者面接日の説明では、

 

 本来は立ちっぱなしの作業だが、実習生個人スペースを作って座らせて

 作業をやることになっている、という話だったそうだ。

 

しかし、彼は一日目から皆と同じように立って作業したという。

一日目は相当疲れた様で、帰宅後「嫌い!!」と言った、と

お母さんは連絡帳に書いてきた。

 

 たぶん「疲れた!!」のつもりで彼は言ったのだろう。

 

お母さんは実習最後の日に職場の上司と面談し、評価を聞かされた。

 

お母さんの連絡帳にはこう書いてあった。

 

 午後の作業に入る前に何度か固まってしまい、

 強く声かけえしたことがあった、ということと

 昼休みに孤立している、ということが強いて言えば問題だが、

 立ちっぱなしの作業をフラフラすることもなく集中し、

 毎日やっている人と同じペースでやれて、

 一年生としては素晴らしいですね。

 

と言ってもらえたと。

 

 また、朝の挨拶もしっかりして、身の周りのことはすべて自立しているので、

 ここまで育てるのには、苦労されたんじゃないですか?

 

とも言われた、と書いてあった。

 

 

 実習先の職場の上司の方の方が支援学校の担任の先生より

 よっぽど彼の本質を見抜いているじゃないですか!!

 

重度自閉症の彼が、重度とは思えない能力を発揮しているのを見て、

担任の先生はアンバランスな不思議な自閉症だと言ったそうだが、

 

実習先の職場の上司は、彼を重度自閉症にもかかわらず、

ここまで育てた努力、苦労に思い致すことが出来る人だった。

 

来年も来て下さい。と言われたそうだ。

 

 お母さんの連絡帳にはその言葉を聞いた時、彼に関わってくれた人達に

感謝の気持ちで胸が一杯になった、と几帳面な字で書いてあった。

 

 自閉症育ては確かにとても大変な苦労だが、

努力、忍耐、根気が報われた成長を見る喜びはおつりがくるほどだ。

1の成長に10倍の感動を味あわせてくれるのが自閉症育て。

出来て当たり前が、当たり前に出来ることの喜びと感動に変わるのだから。

 

自閉症育ては幼児期は一番辛い。

親に寄り添う仕組みがもっと確立して欲しいものだ。

そして、自閉症も社会に出て、自分の人生を楽しめるようになれればいい。

 

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